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1991年7月12日(金)

【熊大迷宮:黒髪オラトリオ部隊】
「爆発」
「おー、すげー」
 本田 仁が唱えた爆発の現象をみて、部隊の全員が感嘆の言葉を漏らす。ここは熊大迷宮地下2階。本日も大塚 仁が扉の罠の解除を行い、解除ができないことを確認した後、階段から南側のエリアの探索を行っている。先日爆発が使えるようになったので、先ほど現れた大量のコイン玉に爆発を使用したのである。本田の爆発によって、コイン玉はなすすべなく消滅した。
「聞きしに勝る迫力やな」
「百聞は一見にしかずやな」
 広巡 聡が発した言葉に谷口 竜一も感想を述べる。大塚が物質の回収を行っている間に、本田の状況を確認する。
「いや、別に特段疲れてるってことはないと思うけどな」
 諸先輩方の話では、爆発を覚えた頃の爆発での体力消耗度はかなり大きなものであり、1発打っただけで疲労感が半端ないと聞いている。しかし本田をみるとそこまでではないようである。
「もう1発打ってみようか」
 そうこうしていると大塚が回収を終えたので、広巡は探索の再開を告げる。しばらく歩を進めると、大塚が亜獣を探知する。
「そこの通路の右側。亜獣7体です」
 これを聞いて谷口と山村 三平太、宮川 勘太は戦闘体制を取る。
「良し、警戒しながら前進。本田は爆発撃てたら打ってみてくれ」
 広巡の指示で部隊は亜獣方向へと向かう。遭遇した亜獣は僧侶3体、魔術師4体であった。
「無効」
「爆発」
 広巡は僧侶に無効、本田は魔術師に爆発を唱える。爆発により魔術師は消滅し、向こうによって僧侶は能力を封じられたようだ。こうなると戦士3人の敵ではなく、あっけなく戦闘に勝利する。
「物質回収します」
「さすがにちょっと疲れてるかも」
 大塚が物質回収に向かった時に、本田は言葉を漏らした。
「でもあと1発撃てんことも多分ない」
 その言葉を聞いて、広巡は本田がやはり化け物だと認識し、大きなため息をついた。

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