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1991年3月2日(土)

【道:前田 法重・原田 公司・富田 剛・谷口 竜一・大塚 仁・本田 仁】
「一旦会議室に集まってから状況確認やら自己紹介などもしつつ親睦深めてから探索始めましょう」
「良いと思うぞ」
 来週の探索についての提案を行った富田 剛の言葉に前田 法重はその意見に賛成の気持ちを口にした。ここは居酒屋『道』。本日もたくさんの客で賑わっている。このメンバーたちもいつのもように時間になると集合し、その流れに逆らわずに宴会を開始している。先日の部隊編成で黒髪てへろく部隊もメンバーが変更となっており、戦士の牛嶋 香織・僧侶の村田 健・魔術師の多田隈 五月が新メンバーとして同じ部隊となる。同じ職種のメンバーは同期ということもありある程度見知っているが、別の職種になるとほとんど面識がない状況なので、来週の探索前に一旦話し合いを行って、気持ちをまとめた方が良いと富田が考えたのである。
「大丈夫なんですかね?3人も入れ替わって」
 素朴な疑問を谷口 竜一が口にする。部隊のメンバーとは時間の経過とともに考え方や戦い方を共有することになるので、阿吽の呼吸ではないが、部隊全員が一つの意思で行動しているような感覚となる。もちろん初めて部隊を組んだ時の探索はその感覚があるはずもないが、もちろんそれは冒険の開始時であり、迷宮の難易度も低いので対応できるのである。だが、てへろく部隊は地下3階を探索しており、ある程度強い亜獣が存在していると聞いている。いきなり即席編成部隊で対処ができるかどうかを谷口は心配しているのである。
「でもあれだよね。牛嶋さん達の部隊ってまだ天才クリアしてないよね」
「いや、最後の探索でクリアしたって言ってたぞ」
 気になる情報を原田 公司が口にし、それに前田が返事を返す。最後の最後に天才をクリアしたという話を鈴木 圭介から聞いていたのである。
「じゃあいきなり地下3階でも良いですかね。でも久しぶりに天才見てみたい気もします」
 単なる自分の感想を富田が口にする。戦士3人ともに天才をクリアしているので、理論上は天才をクリアしたことになっているはずだが、メンバーが変わったのでもしかしたらまた天才が出現するかと考えたのである。天才を倒した時に出現するレア物質は意外と高価であり、もらえるものはもらいたいと考えるのは罠解除士として当然のことであろう。
「じゃあ明後日はいったん天才に会いに行くかね」
「たぶん覚えておけって言われるでしょうけどね」
 話をまとめて前田が言葉を発し、それに原田も感想を述べた。この後はいつものようにアニメやゲームの話で盛りあがり、閉店まで飲みに飲みまくる面々なのであった。

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