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1991年4月19日(金)

【熊大迷宮:黒髪オラトリオ部隊】
「いやー、無理やな」
「全然鍛錬してないからね」
 谷口 竜一の言葉に山村 三平太が続け、宮川 勘太も同意の意を表す。ここは熊大迷宮地下1階。本日黒髪オラトリオ部隊は暗黒空間に初めて侵入を試みた。もちろん今まで鍛錬場で目を瞑った鍛錬は行なっていないが、どんなものかを確認しに来たのである。
「すごいよな。魔法の灯りとかも全く無効にするのな。どんな物質が充満してるんだろう」
 一歩中に入って光球を発現させた本田 仁が光が全く発現しないのを見て興味深く言葉を発する。広巡 聡も暗闇の正体についていろいろ思案を巡らせいる。唯一大塚 仁だけは特に暗黒空間だからといって何か変わるわけではない。罠解除士の通常業務である亜獣探知はそもそも目に見えない範囲を探索しているからだ。
「亜獣の詳しい場所とかは俺が一応指示できるけど、場所わかったからって戦えんよね。はっきりどの亜獣かもわからんし」
 大塚の言に全員が頷く。正直今この暗黒空間で戦うことは無理だし、迷宮探索ガイドにも今の段階で暗黒空間で戦う必要はないとの記載がある。
「まあ、少しずつ暗黒空間対策は各自で行うとして、今日は北東部分でも行こうかね」
 広巡の指示に全員が同意し、部隊は北東方向へ向かう。その後、ある程度の戦闘、レア物質の回収を行い、本日の探索を終了することにした。

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