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1991年5月4日(土)

【立石邸:立石 啓二・富田 剛・本田 仁】
「へー、小絵ちゃん冒険者に申し込んでるんだ。それも戦士で」
 富田 剛はぐい呑みの日本酒を飲み干した後で、このように言葉を発し、本田 仁に開いたぐい呑みを向ける。ここは立石邸。昨日からGWの4連休中となっており、富田と本田は特にすることがなかったので、1日ゲームセンター『VIPファンタジア』で、スト2やコインゲームなどいろいろなゲームで遊んでいたが、夕方過ぎに立石 啓二と合流し、立石の家で飲むことになったのである。
「何か懐かしそうにしてたよ。富田のこと知ってたからおいもびっくりしたよ」
 そう言いながら立石は富田に酒を注いでもらう。
「で、この前話してたけど、おいのタイプの女の子は嶋本 麗華って名前だった。魔術師やね。小絵ちゃんと友達だから小絵ちゃん経由で少し仲良くなった」
「じーじさん、やりますね」
 軽い笑顔を浮かべながら本田が立石の言葉に反応する。ちなみに、本田は今立石のことをじーじさんと読んだ。立石は2浪して熊大に入ってきたので回生的には1回生である。なので本来2回生である本田の後輩となるので、本田はさん付けする必要もなければ敬語を使う必要もない。ただ、立石は富田とタメ口で話しているし、自分は富田に敬語で話している。これで自分が立石にタメ口で話すのは何か違和感があり、余計気になるので、呼び方はじーじさんで、富田と同じ感じで敬語で話すようにしているのだ。
「一緒に昼ごはん食べたりしたけど、やっぱり美人やったわ。小絵ちゃんも可愛いけどね。富田なんかは小絵ちゃんタイプじゃないんかね」
「ドフトエフスキーやね」
「ドストライクって言いたいんですか?」
 よくわからない言葉の真意を読み取った本田の発言に満足した富田は目の前のぐい呑みを一気に空にした。

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