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1990年6月18日(月)

【大塚邸:大塚 仁・富田 剛・本田 仁】
「悪意の塊やな」
 ビールのつまみのチーたらを口に運びながら富田 剛がこう呟いた。スタジオでたまたま一緒になった富田、大塚 仁、本田 仁は北食2階で夕食を食べた後、コンビニでお酒とおつまみを大量に購入して大塚の部屋で飲むことになった。ゲームや漫画の話で盛り上がり、午後11時になった頃に大塚が富田に質問する。
「カノッサの屈辱ってテレビ番組知ってます?」
「え、知らんな。面白いん」
「富田さん歴史好きだから絶対面白いと思いますよ。今日0時40分からあるから一緒に見ましょう」
 笑顔で大塚がそう言ったので、富田はそのカノッサの屈辱なる番組が面白いのだろうとは認識した。ただ番組タイトルとしてカノッサの屈辱とは全く内容が想像つかない。富田は一旦考えるのをやめて別の話題で盛り上がる。そうこうしているうちに時間になりカノッサの屈辱が始まる。すごく真面目な歴史番組風のオープニングが流れ、何やら歴史学の教授みたいな人が出てきて番組が始まる。その教授が、この日の講義は「古代エーゲ海アイドル帝国の歴史」と語ったあたりで富田は何となく番組を察する。古代西欧史と日本のアイドルの歴史を絡めた番組構成は確かに面白く、歴史好きの富田も興味をもって試聴する。その中で歴代のアイドルが歴史の偉人を模して描かれているのだが、その肖像画が昔の紙風の物に可愛らしい感じで描かれている。ただ1名だけ絵だけではなく銅像になっているアイドルがいて、それがクレオパトラ聖子である。絵の方のクレオパトラ聖子は非常に可愛く描かれているが、銅像のほうはエラだけを強調されたディスってるとしか思えないような作りになっている。
「いやー、うまくできてますよね」
「めっちゃ面白い」
「面白いですよね」
 テレビを見ながら番組の面白さで盛り上がりお酒も進んでいる。番組も終盤に差し掛かり、うまくまとまったような感じになったがそのとき例の銅像がアップになり、ナレーションがこう告げる。
「そしてクレオパトラ聖子は世界制覇へ乗り出す」
 3人は大爆笑した。

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