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1991年1月9日(水)

【熊大迷宮:王家の紋章部隊】
「あれ、何かめまいがする・・・」
 そう言って藤原 静音は横にいた佐々木 雅美に寄りかかり、そのまま意識を失った。ここは熊大迷宮地下3階。地下3階に降りて2度目の戦闘を難なく終え、四谷 謙詞がレア物質の回収後の収納の罠を外している最中である。
「静音、大丈夫」
 そう言って佐々木は寄りかかってきた藤原が倒れないように支えながら座り、藤原の頭を自分の太ももの上に乗せる。藤原は完全に意識を無くしているようだ。
「すいません。罠は外せたのですが、途中何かの罠が作動したようです」
 横にいる判 祐市に四谷がそう告げたので、判が後ろを振り返ると倒れている藤原に気づく。収納の中身は一旦後回しにして、藤原の元に集合する。
「これ、罠起因ですかね。何で藤原さんだけなんでしょう」
「罠起因だかどうかはわからないわね。でも体調悪いようでもなかったから、おそらく」
 四谷と右田 良子が話していると、佐々木の回復によって藤原の意識が戻る。意識が戻った藤原は何ごともなかったのごとく立ち上がった。
「ごめんなさい。何か急にめまいがして、意識が飛んでしまいました。こんな事は初めてです」
 軽く頭を下げながら藤原がこのように言ったので、全員が今の現象が罠起因の可能性が高いと認識する。その後、収納の中身を確認し、大事を取って本日の冒険を終えることにした。後にわかることだが、本日四谷が解除に失敗した罠は、魔術師だけに反応する結界が広がり、魔術師が卒倒したり、麻痺したりするというものである。魔術師にとって非常に邪魔な罠なので、この罠の名前は魔術師ジャマーと呼ばれるようになる。

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