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1991年1月14日(月)

【熊大迷宮:黒髪てへろく部隊】
「富田ー罠解除失敗するなよー」
 収納に設置された罠を解除している富田 剛の後方から菊川 竜二の声が響く。ここは熊大迷宮地下3階。本日も地下3階に降りてきた黒髪てへろく部隊は1回目の戦闘を難なく終え、富田がレア物質の回収をし、その後収納の罠解除を実施している。先週の金曜日に魔術師ジャマーの罠の件を藤原から聞いていた菊川はその罠だけは勘弁して欲しいので、富田へ注意を促したのである。ただ、何の罠がかかっているのかは今の富田のレベルではわかりようがないので、正直そう言われても富田は困るだけである。
「失敗する気はないんですけど、こればかりは」
 両手を動かしながら少し大きな声で菊川に返事を返したが、感覚的に罠はかかっていないようである。
「解除成功しました。原田さんお願いします」
 富田がそう言ったので隣で待機していた原田 公司は収納の蓋を開ける。中にはレア物質がいくつか入っているが、装備品はなかった。富田はレア物質を回収し、原田と一緒にみんなの所に戻る。
「たぶんその魔術師ジャマーって罠はそんなにかかってないと思うので、そんなに気にしなくていいと思うんですけど」
「でもやっぱり気になるじゃん。このメンツの中で気を失ったりしたらそれこそ何されるかわかったもんじゃない」
「何もしねーよ」
 罠について富田が正直な感想を述べた後、菊川が多少訳がわからないことを言ったので、前田 法重が突っ込み、話が終わる。全員が落ち着いたのを確認した後、川崎 志郎は探索の再開を告げた。

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