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1991年7月31日(水)
【罠解除士鍛錬場:大塚 仁・山之内 恵・中元 加奈・笹本 真奈美】
「いやー、無意識にっていうのは無理だよね」
「無意識にできるって意味がわからない」
笹本 真奈美が発した言葉に、中元 加奈が思っていることを述べた。ここは午前中の罠解除士鍛錬場。本日もたくさんの罠解除士が鍛錬を行っている。本日3期生の罠解除士4名は一緒に鍛錬を行っていたが、ある程度疲れて来たので、休憩を取ることにした。休憩をとりつつ、罠解除士の業務である亜獣探知と罠解除についての話となり、自分がどちらに適性があるかを全員で考えて話をする。各自の適正の話がある程度終わったあたりで大塚 仁が富田 剛の亜獣探知能力について話を始め、自分達と違い、全く精神を集中せずに普通に亜獣探知が行えることを話したのである。それを聞いて、どちらかといえば亜獣探知が得意な中元と笹本にも全く理解が出来ない。ただ、この2人は亜獣探知が得意というよりは罠解除が苦手という側面が強い。
「でも、無意識に亜獣探知出来るってことは移動中に精神集中しなくて良いってことだよね。富田さんって移動中何やってるのかな」
「何か僧侶の村田さんと魔術師のめいさんとずっと何やら喋ってるって聞いたよ。たまに牛嶋さんにうるさいって怒られるとか言ってた」
疑問に思ったことを山之内 恵が口にし、それに大塚が知っていることを回答する。それを聞いて全員が呆れた表情を浮かべる。
「ピクニックじゃないんだから」
思わず言葉を漏らした中元だったが、全員がそれを聞いて同意し、頷いていた。