1990年12月14日(金)
【道:前田 法重・原田 公司・富田 剛・本田 仁】
「そういえば今年の流行語ってファジィでしたね」
「あまり使わんすね。フォジーなら使いますけどね」
思い出したように口にした原田 公司の言葉を聞いて、富田 剛が感想を返した。ここは居酒屋『道』。本日もたくさんの客で賑わっている。年末の風物詩である新語・流行語大賞が今年も発表されており、今年の大賞は“ファジィ”という言葉であった。言葉の意味は“あいまい”という意味であり、主に電化製品で設定をきちんとせずにある程度適当でも性能を発揮するような性能を持たせたものである。何でもそうであるが、一部の人間しか使用しなかったものが世の中に広がっていく過程で、その使用方法の難しさによってその道具を使いこなせないという事象が発生する。その場合はその道具の側がを使いやすいように修正する必要がある。そこであまり細かな設定を必要とせずに、ある程度の設定である程度の機能を持つような製品が開発されていったのである。
「フォジーって何だったっけ。聞いたことある」
「あれですよあれ。タイトル何だっけ。テッテッテーテッテテレーレーってやつです」
「ジーザスですな」
昔のPCゲームに出てきたキャラクターであるが、そのことを前田 法重が失念して質問してきたので、富田はそれにゲーム中に出てくる重要な音階を歌って説明する。それを聞いた本田 仁がそのゲームのタイトルを口にしたのであった。