1991年1月8日(火)
【罠解除士鍛錬場:森 瑠美・富田 剛・四谷 謙詞・真田 美和】
「あー何か体がほっこりする」
満足げな笑みを浮かべながら真田 美和がこう口にする。ここは罠解除士鍛錬場ラウンジ。今日は森 瑠美が1日遅れではあるが、七草粥を大量に作って持ってきているのである。年末年始は冒険者組織はお休みだったので、鍛錬の疲れが溜まっているというのは無いだろうが、富田 剛は昨年同様かなり疲労が溜まっているように見える。年末年始どれだけの酒を呑み、タバコを吸っていたのかは想像もつかない。
「いやー本当に美味しいです。気持ちも安らぎます」
笑顔を浮かべて四谷が言葉を口にすると、富田も言葉を続ける。
「何か年末年始荒れ狂っていた体が休まっていくのを感じます。」
「そう、良かったわ。作ってきた甲斐があった」
そう話している森の目の前に富田がそーっと茶碗を出してきたので、森は笑顔でおかわりをつぐ。
「でもこうやって七草粥を囲んで皆んなで談笑するのもいいですよね。昔の人も言ってますもんね」
富田がこう口にしたので、全員が富田の次の言葉に注目する。
「無くて七草悪い草」
「失礼ね。悪い草は入ってないわよ」
ため息混じりに突っ込んだ森の言葉を聞いて、富田は自分の発した言葉の意味を考え直す。正直語感だけで意味を考えずに発した言葉だったので、自分としては面白いと思ったのだが、意味を考えるとあまりに失礼だったので、富田は反省した。