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1990年11月21日(水)
【罠解除士鍛錬場:大塚 仁・山之内 恵・南 幸四郎・中元 加奈・笹本 真奈美・富田 剛・真田 美和・山口 加奈】
「良し!出来た!」
目の前に差し出している両手にハンドボール大の光球が出現した大塚 仁が少し大きな声で叫んだ。ここは罠解除士鍛錬場。本日も3期全員と数名の罠解除士が鍛錬を行なっている。数日前から両手課題ができそうな感覚を覚えていた大塚だったが、実際に出来た感動で多少興奮し、大きな声を出してしまった。
「大塚君。オメー、早いw」
1番近くで一緒に鍛錬をしていた山之内 恵が多少呆れながら大塚に祝福の声をあげる。この後、南 幸四郎・中元 加奈・笹本 真奈美も大塚を祝福する。
「大塚君おめでとう。すごく早く出来たわね。多分去年の富田君とちょうど同じタイミングだと思うわ」
びっくりした表情を浮かべて山口はこう口にする。
「他の皆さんはまだ全然焦らないでいいですからね。自分のペースで鍛錬をしましょう。
そういって山口は大塚以外が動揺しないように声をかけた。
「俺富田さんに報告してきます」
そういって大塚は多少離れたところで鍛錬している富田 剛と真田 美和のところを訪れ、両手の光を発現させる。
「大塚君すごーい。はっきり覚えてないけど私出来たの12月下旬だった気がするのに。でもおめでとう!」
すごく驚いた表情を浮かべた後、満面の笑顔で真田が大塚を祝福する。その後の富田の言葉を待っている大塚だが、何となく富田の発言が予想できた。
「大塚課題クリアおめでとう。ちょうど去年の俺のタイミングと一緒ぐらいや」
富田はそう言って大塚を祝福する。
「出来たタイミングが一緒ってことは実力が一緒ってことだから今日から俺のことをと」
「呼びませんよ」
自分が思った通りの言葉を富田は発したので、完璧なタイミングで突っ込むことができ満足げな大塚であった。