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1991年6月28日(金)
【魔術師鍛錬場:多田隈 五月・嶋本 麗華】
「立石君はいい人だよー。とみたんの友達だから悪い人のはずないからねー」
ベンチに座ってドリンクを飲みながら、多田隈 五月が元気に言葉を発する。ここは魔術師鍛錬場。本日も数人の魔術師が鍛錬を行っている。本日は金曜日なので同じ1期の藤原 静音は迷宮待機場に常駐し、榊 麗美は探索を行っている。また、河本 多喜二は朝は鍛錬に来ていたが、早々に帰ったらしく今は鍛錬場にはいない。1人で鍛錬するのが寂しくなった多田隈は、友人の江村 香奈恵を探したが、江村も今日は鍛錬に来ていなかったので、嶋本 麗華と一緒に鍛錬をすることにしたのである。とはいえ多田隈は今や吹雪が習得できており、大爆発と一掃が出来るべく日々試行錯誤している状況であり、嶋本はまだ手のひらの課題をクリアできていない。一緒に鍛錬を行うと言ってもやることは全く違っている。お互いにしばらく集中して鍛錬を行い、多少疲れてきたので一緒に休憩することにしたのである。
「そうなんですか。はっきりと好意を持たれているんですけど、私あまりそう言うの得意じゃなくて」
「そうなんだー。嶋本さんって美人だからモテモテだと思ってたー」
嶋本の相談にも似た発言に、多田隈は正直な感想を述べる。嶋本は小学校は地元の小学校に通っていたが、中学と高校は女子校である親愛女学院であり、そこから熊本女子大学に進学している。女子校から女子大に進学したので、あまり男性と接する機会がなかったのである。
「まあ、とりあえず今みたいな感じで小絵ちゃんとか私とかとみたんとか本田君と一緒に色々遊びながら立石君見極めればいいよ。どっちにしても私も協力するからねー」
笑顔を浮かべてこう話した多田隈に嶋本は感謝の意を伝え、少し考え込むような表情を浮かべた。