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1990年8月3日(金)

【道:前田 法重・原田 公司・富田 剛・谷口 竜一・大塚 仁・本田 仁】
「まじでやばかったですよ」
「確かに少し心配ではあったんですよね」
 真剣な表情で話す原田 公司の言葉に富田 剛が感想を述べる。午後7時を過ぎた居酒屋『道』いつもであれば大盛り上がりでお酒を楽しんでいる前田 法重一行であるが、本日は何やら静かな雰囲気となっている。冒険者は危険と隣り合わせで、命も危ないと聞かされてはいたが、実際今まで軽い怪我ぐらいはあったが、命に関わるほどの事象は起きてはいない。それが本日起きてしまったのだ。本日初めて探索を行なったここにいるぞ!部隊は迷宮に入った後、予定時間を過ぎても戻ってこなかった。そこで急遽鍛錬を行なっていた川崎 志郎、原田、右田 良子、富田、佐々木 雅美、藤原 静音の6名で迷宮に入り救助に向かったのだ。迷宮に入り、しばらく奥に進んだ場所で目にしたのは亜獣に全滅させられたここにいるぞ!部隊の隊員達であった。全員重傷ではあるが、生きてはいたので、全員を運び出し、救急車で熊大病院へと送ったのである。幸い全員命に別状はないとのことだが、どれほどの重傷なのかの詳細はよくわかっていない。
「罠解除士の高村さんの気配探知が微妙だと山口さんが言ってたんですよ。だから俺も少し心配で気にはしてたんですよね。まだ範囲が狭かったので。それが起因かはわからないですが」
 神妙な顔でビールを飲みつつ語る富田を見て、前田、原田も何やら考え込んでいるが、冒険者ではない谷口 竜一、大塚 仁、本田 仁は状況がよくわからず、ただただ静かにお酒を口に運んでいた。

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