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1991年8月21日(水)

【森の小径:右田 良子・判 祐市・原田 公司・草野 紗江・富田 剛・多田隈 五月】
「善き哉善き哉」
 満面の笑顔を浮かべながら右田 良子がこう口にする。ここはランチ時間の喫茶店『森の小径』。本日もリーマンや大学生たちが多く訪れている。午前中の鍛錬の後、いつものようにここを訪れ、本日のパスタを堪能する右田と判 祐市であったが、自分達が来店した後20分ぐらいして原田 公司と草野 紗江が来店し、その後しばらくして富田 剛と多田隈 五月がやってきた。右田は自分が知っている人がカップルとなり楽しく過ごしているのを見るのが大好きであり、本日は自分達以外に2カップルがやってきたのを見てご満悦なのである。ただ、判 祐市はあまり他人に興味がないので、いつも通りに昼時の時間を過ごしている。
「前々から原田君と紗江はお似合いだと思っていたけど、こうしてみると富田君とめいちゃんもお似合いだよねー」
 本日のパスタを食べ終えて、食後の紅茶を待っている時間に右田が言葉を発する。一般的な美男美女である原田と草野は落ち着いた雰囲気でランチを過ごしているので、イメージ的に自分達に近いが、富田と多田隈は俗にゆうバカップルであり、良くわからない話で盛り上がったり爆笑したりしている。自分とは違う領域を生きているのであろうが、ほんの少しだけ判とあのように良くわからなく盛り上がってみたいと思わないこともない。そう思いながら判の顔を見つめる右田だったが、その思いはもちろん通じない。
「正直良くわからないや」
 右田が発した言葉に判は疑問の表情を浮かべて、ウェイトレスが持ってきた食後のドリンクを受け取り、テーブルに置いた。

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