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1991年5月27日(月)

【熊大迷宮:黒髪てへろく部隊】
「久しぶりだな。牛嶋」
 目の前に現れたサラダバーを緊張した表情で牛嶋 香織が見つめている。ここは熊大迷宮地下3階。黒髪てへろく部隊は本日もサラダバーが出現する部屋を訪れた。先週、前田 法重と原田 公司はサラダバーと戦っており、ある程度の実力を把握した。その時点では牛嶋の実力では負ける可能性があったので、この1週間猛特訓を行ったのである。金曜日の時点で前田と原田は合格点を出し、1週間しごかれた体の疲れを土日で回復し、今に至るのである.
「牛嶋さん。落ち着いて戦えば大丈夫だからね」
「香織さんがんばれー」
 冷静な前田のアドバイスと、元気な多田隈 五月の応援を受けて、牛嶋は覚悟を決める。
「行きます」
 そう言って牛嶋はサラダバーとの戦闘を開始する。初めて対峙するサラダバーは明らかに動きが早く、攻撃も重い。だが、何となく動きの予想がつく。その予想通りに体を動かすと、攻撃を回避することが出来る。
「やっぱりあの2人はすごい」
 サラダバーと戦いつつも、この1週間鍛錬を行なってくれた前田と原田の凄さに脱帽する。あの2人も先週1度しかサラダバーとは対戦していない。その1度の対戦でサラダバーの動きを全て分析し、それを他人に教えることが出来るのだ。自分よりはるか高みにいる2人に尊敬の念を抱く。そう考えながらも牛嶋は確実にサラダバーにダメージを与え続ける。
「どうやらここまでのようだな。さらばだ牛嶋!」
 そういってサラダバーが消滅したので、牛嶋は大きく息をはく。
「牛嶋さん。お疲れです。物質回収しますね」
 サラダバーの最後の動きを理解している富田 剛が、消滅するよりもかなり早い段階で近づいてきており、消滅したタイミングでは牛嶋のすぐ後ろまで来ていた。牛嶋は富田に礼を返すと、部隊の仲間の元に歩いていく。村田 健と多田隈 五月は笑顔と拍手で牛嶋を迎え、前田と原田は腕を組んだ状態で満足げな表情を浮かべている。それを見て牛嶋は大きく頭を下げた。その後、数回サラダバーと戦闘を行い、本日の探索を終了することにした。

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