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1990年5月5日(土)
【九州自動車道:林 真一郎・森 瑠美・四谷 謙詞・真田 美和】
「俺は実家が事業やってるから卒業したら戻って手伝うことになってる」
渋滞している九州自動車道でハンドルを握っている林 真一郎が森 瑠美の質問にこう答える。本日は1期の罠解除士4名でこの春オープンした遊園地『スペースワールド』へ行ってきた。いつも通り真田 美和がどうしても行きたいと駄々をこねたからである。開場からほぼ一日楽しんでいた四谷 謙詞と真田は後部座席で疲れて眠っている。この春で学年が1年上がり、3回生だった冒険者は4回生となっている。4回生となると来年は大学を卒業となるので、来春以降の予定を森が林に訪ねたのである。
「そうなんですね。4回生の人たちは卒業と一緒に冒険者辞めちゃうんですかね」
少し寂しそうな表情を浮かべて森がこう口にする。実際去年から始まった冒険者組織では4回生が卒業後どうするかという状況は、来年の春に初めて発生する。現在冒険者になる資格も熊大生というのがあるので、それが卒業生も含まれるかどうかも今の状況ではわからない。
「まあ院に進むやつもいるから4回生全員がいなくなるわけじゃないと思うけど、俺の感覚ではほとんどいなくなるんじゃないかな」
そう言って林は眠気覚ましにブラックコーヒーを口に運んだが、森は相変わらず寂しそうな表情を浮かべていた。