1990年9月5日（水）

【熊大病院：古川　美穂・深川　真・永田　健一・太田　喜美恵・高村　翔・上村　静枝】
「じゃあ、一足先に俺たち退院になったから」
　深川　真がベッドに座っている古川　美穂に向かってこう口にする。ここは熊大病院の古川の病室。本日退院となったここにいるぞ！部隊の深川、永田　健一、太田　喜美恵、高村　翔、上村　静枝が退院までもう少しかかる予定の古川に挨拶にきたのである。
「私ももう少しだと思うけどね」
　特に怪我が酷がった左手を動かしながら古川がこう話した。しばらく他愛のない話をした後で、深川達が帰ろうとした時に古川がみんなに尋ねる。
「で、みんなはこれからどうするの。続けるの？」
　古川の質問に深川は永田、太田、高村、上村全員の顔に視線を送り、口を開く。
「古川には話してなかったけど、俺たちは降りることにした。未練がないわけではないけど、もう無理だって考えに至ったんだ。ごめんな」
「わかった。何となくそう思っていたから気にしなくていいよ」
　非常に申し訳なさそうに話した深川の言葉に、静かな声で回答した古川は、深川、永田、太田、高村、上村1人ひとりに視線を送り、やさしい表情を浮かべた。