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1990年11月5日(月)

【熊大迷宮:黒髪てへろく部隊】
「天才」
「了解。じゃあみんな天才の部屋に行くぞ」
 3階へ向かう階段の罠解除を行なっていた富田 剛が発した言葉を聞いて、隊長である川崎 志郎は部隊全員に天才がいる部屋へ向かう意志を伝える。ここは熊大迷宮地下二階。最近黒髪てへろく部隊は3階へ降りれるかどうかを毎回の探索の主題においている。そこで富田が毎回罠解除を行うのだが、本日も解除できなかった。これまで何度もこの状況は発生しており、富田も以前はきちんと「罠解除できませんでした。今日も天才の部屋でお願いします」と報告していたのであるが、最近は「天才」と述べるだけで諸先輩方は富田の心中を察してくれている。
「富田の罠解除能力を持ってしても3階階段の罠はまだ解除できないんやね」
 前田 法重が何気にこう呟いたが、この言葉に原田 公司が食いついた。
「あれ、何何をもってしても何何。って最近どっかで聞いた気がする。何だっけ。
 原田は思い出せそうなことだけど思い出せないような感じでこのようにつぶやく。
「まあ特に珍しい表現でもないからどこでも使うんじゃないの」
「そうなんですけど、最近何かで見た気がするんですよね」
 前田の言に原田は何かスッキリしない表情をしている。
「よくわからないですけど、パッと思いついたのはエースのスペースQを持ってしても脳震盪ぐらいのダメージを与えることしかできないってやつですね」
「それだ!」
 富田の言を聞いて原田はスッキリとした表情を浮かべた

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