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1990年7月23日(月)

【熊大迷宮:黒髪てへろく部隊】
「ここの扉も開かないっすね」
 扉の罠解除を行なっていた富田 剛が罠が解除できなかったので、川崎 志郎にこう告げた。熊大迷宮地下2階。前回コイン玉と遭遇した扉から先に進むことにした黒髪てへろく部隊は、少し進んで直進と左側に通路がある三叉路の右側にある扉に罠があることを発見し、富田が解除を行なっていたのである。
「何か開かない扉多いな」
 前田 法重がつぶやいた言葉を聞いて原田 公司が頷く。地下2階に降りてきて、扉自体は4ヶ所目になるが、そのうちの2ヶ所が富田の罠解除で解除できていない。
「とりあえず直進するか」
 川崎がこう口にして、直進すると、通路は左に曲がっている。左に曲がってしばらく進むと右側に扉が見つかった。
「この扉は罠かかってないです。中に亜獣が7体います」
 その言葉を聞いて川崎が原田に合図し、原田が扉を蹴破る。扉の奥には4体の人型の亜獣と、見た目が異なる3体の人型の亜獣がいる。両方とも今まで見たことのない亜獣だ。
「無効」
「催眠」
 4体の亜獣は何か武器みたいなものを持っており、3体の亜獣は武器を持っていない。大石 泰三は武器を持っていない亜獣が、先日の魔術師のように何か呪文を唱える気配がしたので、無効を唱え、菊川 竜二は武器を持った亜獣に催眠を唱える。無効が効果を表しているかどうかは不明だが、催眠によって4体の亜獣は膝から崩れ落ちた。
「よし、法重、原田。全力で起きてるやつ倒すぞ」
 亜獣に向かいながら叫ぶ川崎の指示を聞いて、前田、原田が3体の亜獣へと向かう。その亜獣は武器を持っておらず、手のひら出してそれを押し付けようとしている。ただ、手のひらには何も発言しておらず、手のひらで触られた原田にダメージはなかった。おそらくだが僧侶が紫の光球を発現させようとしたが、大石の無効によってそれが妨げられているのであろう。3人の攻撃で3体の亜獣はほぼ瞬時に消滅し、催眠で身動きたとれない4体の亜獣も難なく殲滅に成功した。
「さっきのは僧侶っぽかったな。大石の無効が効いたのかな」
「正直俺にもわからん」
 後方から先頭を眺めていた菊川が質問したが、実際どうなのかは大石にもわからなかった。

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