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1990年5月9日(水)

【熊大迷宮:王家の紋章部隊】
「生き生きしてるなあ」
「楽しい気持ちが溢れ出てる」
 思わず漏らした川口 耕輔の言葉を聞いて、判 祐市が笑いながら返事を返した。ここは熊大迷宮。王家の紋章部隊は本日も地下1階の探索を行なっている。昨日の鍛錬中に、地下1階で見つかった扉の件を聞いていたので、本日はその扉を見つけるのがメインのクエストであった。だが予想以上に簡単に四谷 謙詞がその扉を見つけることができたので、クエストの内容は書き換えられて、話に聞いていたボスらしい亜獣との戦いに挑むことにする。ボスの部屋に入る際の亜獣との戦闘はサクッと終わらせ、部屋の中を確認すると、カエルの彫像の存在を確認した。
「どうする、私から言っても良い?」
 噂のボスと戦ってみたくて仕方がない様子の右田 良子がそわそわしながら言葉を発したので、それを聞いて川口と判は静かに顔を縦に動かした。
「じゃあ行ってきます!」
 元気に言葉を述べて、右田はカエルの彫像へと移動する。そして指示にあるようにカエルの彫像を動かした後で、自分の名前を叫んだ。すると煙が巻き起こり、噂のボスが出現する。
「君が右田さんかねー、さあかかって来なさい」
 出現したボスは不適な表情を浮かべて近づいてくる。それを見て右田は大きく息を吐いた後で戦闘を開始した。このボスは今まで遭遇した亜獣とは比べ物にならないほど攻撃速度が速いが、右田が避けれないほどではない。ただ、かなりの集中をせねばならず、油断すると喰らいそうである。
「ふふふふふふ」
 手応えがある亜獣の出現に右田は思わず笑みを漏らしてしまう。このボスと戦うのが楽しくて仕方がないようだ。この亜獣はこちらのダメージが通りにくいので、倒すのには結構時間がかかったが、右田はダメージを喰らうことなく倒すのに成功する。
「いやー、楽しいー」
 こう口にしながら部隊の場所に戻って来ると、全員がハイタッチで迎えてくれた。この後、四谷の物質回収が終わるのを待って、川口と判もこのボスと対戦を行い、右田だけもう一戦戦って、本日の探索を終えることにした。

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