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1990年8月17日(金)

【魔術師鍛錬場:菊川 竜二・藤原 静音】
「俺の部隊が月曜日に探索するから、月曜日は藤原さんで、藤原さんの部隊が水曜日だからそこは俺で対応するね」
 スケジュール表に記入をしながら菊川 竜二がこう話した。午前中の魔術師鍛錬所ラウンジ。菊川と藤原 静音が来週以降の迷宮入り口担当について話し合っている。今週1週間は探索が自粛されていたが、来週から探索が再開されることが決まっている。先日の話の通り、部隊が探索を行う間は菊川か藤原のどちらかが迷宮の入り口で待機しないといけないので、来週の探索予定表を見ながらどちらが対応するかを決めていたのである。
「菊川さん達が探索する間、一応私待機することになると思うけど、もしSOS来ても誰も対応できないけどね。いる意味あるのかな」
 素朴に思った疑問を藤原が口にする。地下2階に行けるのが黒髪てへろく部隊しかいないので、SOSが来ても地下2階へは行けないし、そもそも黒髪てへろく部隊が危険な状況になる所へ誰が行けるのかという話である。間違いなくミイラ取りがミイラになってしまうだろう。
「まあ俺たちはそうならないように最大限注意しながら探索するので、藤原さんにSOSを送ることはないと思う。でも藤原さんが見送りと出迎えをしてくれることで、気合が入るであろう奴が1人いるので、無駄ではないよ」
 こう言って菊川は来週の予定が全て埋まったのを確認し、席を立った。

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