1990年7月10日(火)
【VIP:町田 康祐・島 耕次・高村 聡】
「ちくしょー、何やってもかなわねー」
「そんなことはないって」
地団駄を踏んで悔しがっている島 耕次に向かって町田 康祐は笑いながら返事を返した。ここはアミューズメントビル『VIP』。大学生を中心にたくさんの人たちが訪れいている。町田と島、高村 聡も今日は昼過ぎにここに集合し、現在はボウリング勝負を行っているところである。3人は同じ高校出身であり、現在は熊本大学医学部に所属している。前期の試験等、日程がある程度落ち着いたので久しぶりにゆっくり遊ぼうかという話になったのである。高校生の頃からボウリングは良く一緒に行っており、町田と島はいつもデッドヒートを繰り返している。この中では高村はボウリングが少し苦手としており、いつも点数では2人は及ばない。ただ、ボウリングが苦手なだけであり、ビリヤードであれば2人を凌ぐ実力を持っているので、お互いに得手不得手がはっきりしているのである。そして最近のボウリング結果ではなぜか島が僅差で町田に負けることが多くなっているので、冒頭のセリフにつながっているのである。
「もう1ゲーム行くぞ」
「OK。付き合うよ」
「俺もー」
1ゲーム目の勝負は町田が194点、島が188点、高村が154点で終わり、すぐに2ゲーム目をスタートさせる。そして最初の1頭目でストライクを取りテンション爆上がりの島であったが、最終的には今回も僅差で町田に負けるのであった。