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綺麗に年をとること✨
「あなたは綺麗に年を取ったわね〜」
4年前のお正月に会った母は、開口一番にそう言った。
「綺麗だなんて✧*。(≧▽≦)✧*。
綺麗に年をとるってどんなの?!
もう年だし全然綺麗じゃないよ!
もうしわしわだよ〜♡(> ਊ <)♡」
私は、子供の頃よくそうしたように、口を尖らせて言った。
「あら、そんなことないわよ。
人のことを蔑んだり、イジワルしたりして
年をとった人は、イジワル気な顔をしてい
るもの。
あなたは、全然そんなことなく年をとった
ような綺麗な顔をしているわ。」
そこまで言われると、本当にそんな気がしてくるから不思議だ。
「ほんとにそ〜ぉ?」
思わず苦笑しながらも、実の母にそう言われて悪い気はしなかった。
綺麗✨なんて言われるなんて、いつぶりだろう?
子育てが終盤に入り、子供たちが大きくなったぶん私も年をとって、
もう私はいなくてもいいんじゃないか…?
そう思ってしまうことがあった。
あとはもう枯れていくしかない。
とも思っていたのに、私よりもずっと年をとった母にそう言われると、
本当に綺麗に年をとれるのかぁ…?
と半ば期待し、また
年をとっても綺麗でありたい✨
とも思う。
心のありようでそうなれるのなら、いつまでもそうありたい。
とは思うものの、果たしてどうだろうか?
母の近くで暮らしたい。
と思いつつ、転勤族の主人について行くことを選んだ。
結果、離れて暮らす私に、そんなふうに言ってもらえる資格があるのだろうか?
と、つい自責の念にかられた。
とはいえ当の本人は、この施設での暮らしがあっているのか、実家で暮らしていた頃より穏やかで幸せそうにもみえる。
このまま穏やかに過ごしてもらえれば、それが一番いいのかもしれない。
そんな気持ちにもなる。
今は、次第に失っていく記憶の中で、その時の母の『嬉しい感情』を積み重ねていけたら、と思う。
ケアマネジャーさんの
「記憶は忘れても、その時の感情は覚えてい ますから。」
その言葉を信じて。