「人工の島、人造の魂」第2話(全11話)
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「わあ〜アメリカみたいやねえ」
と、幼い私は声を上げました。
明石の木造アパートから引っ越してきて、初めて高層マンションの七階の部屋へ入った時、ベランダの窓にはまだ黒い半透明のシートが掛けられていました。
その向こうに反対側のビルのてっぺんが透かし見えて、まるでテレビの中で見る「アメリカ」のイメージそっくりだったのです。
ここはアメリカじゃないよ、神戸だよ
と、誰かの声が笑って答えました。
それが母のものだったのか、曾祖母のものだったのか、あるいは誰