田中辰雄『ネット分断への処方箋』
■ネットは社会を分断しない
・ソーシャルメディア(Twitter、フェイスブック、ブログ)利用によって、政治傾向が過激化することはなく、むしろ穏健化する p.75(『ネットは社会を分断しない』より)
・日本だけでなく海外でもそう(Barberá, 2014)
Barberá, P. (2014). How social media reduces mass political polarization. Evidence from Germany, Spain, and the US. Job Market Paper, New York University, 46, 1-46.
■極端な人が多く発信し、中庸で穏健な人が撤退している
・中庸な人々が撤退することで、相互理解を進める言論空間が消えてしまっている p.81
・憲法に対する賛否の事例を根拠として挙げているが、これは『ネットは社会を分断しない』から引用されているので、そちらを確認した方がいい
■なぜ中庸な人々が撤退しているのか?
・個人の情報発信力が強すぎるから(本書の中核をなす主張)
・オフラインでは聞きたくない過激な意見を聞かないようにすることができる(テレビのチャンネルを変えたり、議論で司会者が制止したりできる)が、オンラインでは、否が応でも過激な意見が目に入ってくる。自分の意見に対して過激な意見が飛んでくる。なので、沈黙する。
・「私自身はネットで何の制約もなく、自由にモノを言っている」と答える人の割合は、政治的に極端な意見を持つ人に多い(p.89)。なので、極端な人が喋り、中庸な人が黙っていると解釈できる。