140字小説『Infinity』

いつも彼女は真っ直ぐだった。
物怖じせず、誰にでも素直な言葉をぶつけた。
孤立しても平気だった。
むしろ孤独を楽しんでいた。
「強いね」と声をかけると、忌々しそうに頷いた。
「私が見えるんだ」
「みんな見えてるよ」
「そうかな」
小さく鼻で笑う。

しばらくして彼女は消えた。

時々、真っ直ぐな瞳を思い出す。

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