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企業の取り組みを診療所経営のヒントに!
「2022年1月の記事を復刻掲載」
こちらの記事は、2022年1月に公開されたものです。
2021年12月に行われた異業種交流の現地取材リポートを改めてお届けします。
愛知県春日井市にある坂井耳鼻咽喉科の坂井邦充院長をはじめ、看護師、医療事務の職員(常勤・パート)のみなさんと、愛知県名古屋市に本社を構える河合電器製作所の佐久真一社長、そして東郷町の事業所のみなさんとの交流会の現地取材リポートを3回にわけてお伝えしています。
まずは交流会を行った診療所と企業の『よい組織づくり』に向けたそれぞれの取り組みをご紹介、今回は企業の取り組みをご紹介します。
優良企業には競争の激しい経営を乗り越えるノウハウがたくさん詰まっています。
院長の診療所経営にも置き換えられることが実はたくさんあるかもしれません。「これは当院でも使えるかもしれない」そんな想像をしながらお読みいただければと思います。
「製造業をもっと面白く!」を掲げる河合電器製作所
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1929年創業、名古屋市に本社を構え、愛知、東京、大阪、さらにアメリカに事業所を持つ河合電器製作所。
211人の従業員が働いていて、6対4の割合で女性が多い職場だ。
熱技術に関するコンサルティング、さらに電気ヒーターの開発から製造販売まで手掛け、全てオーダーメイドで作っている。
電気ヒーターはホットプレート内の熱源や、乾燥付き洗濯機、食品の袋の小包装や、道路の融雪や、防犯カメラのほか、保育器や血液分析器など医療現場といった様々な場面で使われている身近な存在だ。
事業所では、個人が仕事をするデスクは固定されておらず、好きな場所で仕事ができるようになっている。
個人ロッカーが用意されていて、個人の物はそこに収納しているため、事業所内は物が少なく、照明デザイナーが手掛けた照明がスタイリッシュな雰囲気を演出する。
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お客さんの要望に合わせたオーダーメイドのため、従業員がそれぞれ別の製品の製造を進めているモノづくりの現場。作業場では、足元にクッションを敷いて、腰への負担が軽減されるよう、働きやすさも考慮されていた。
学びの場、交流の場を大切に
河合電器製作所では、年末に全従業員が集まり、来年度の経営方針を周知するとともに、永年勤続表彰を行っている。その経営方針を元に、年始と夏には、部署ごとに目標の発表や、進捗状況を共有している。
全ての従業員はそれぞれ3つの目標を立て、その目標に向かって取り組んできたことを11月に1人10分プレゼンテーションする機会もあるという。交流の場を作り、全従業員で共有することを大切にしているのだ。
さらに、ファミリー感謝デーとして、社員とその家族が集まってのバスツアーやバーベキューなどのイベントや、社員旅行など従業員同士の交流を目的とした様々な企画が行われている。家庭の事情などで海外旅行に行けなかった人には、1泊の国内旅行を企画するなど全ての従業員への配慮も欠かさない。
そして、河合電器製作所では、勉強会や外部セミナー、他業種間交流だけでなく、英語や酪農など様々な研修制度が設けられている。靴磨き体験や味噌作り体験など佐久真一社長だけでなくプロジェクトチームのメンバーの企画のものあるという。直接、ヒーターと関わりがないようなことに見えるが、どう巡って、仕事に繋がってくるか分からないからこそ、学びの場、経験の場を多く用意しているという。
「リーダーが色んなチャレンジをしていこうという姿勢なので、従業員もやってみようという前向きな姿勢になっている」と従業員たちは話していた。
「製造業をもっと面白く!」を掲げる河合電器製作所
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2017年にお客さんと一緒にモノづくりをしたいとの思いから建設された「KARUTA」。
研究設備やコミュニティ設備を備え、納得できるまで時間をかけて研究開発ができるスペースが設けられている。お客さんと一緒に製品を試すなど共に製品づくりを行う場所だ。
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芸術品が目を引くロビー。
芸術作品を見て心を豊かにすることで、自分の引き出しを増やし、お客さんや働く仲間のことを考えられる思考力を養ってもらおうという会社の考えのもと飾られているという。
お客さんの待ち合いや、打合せなどで活用するスペースには暖炉があり、火を囲みながら顔を合わせて、心も身体もホッと温まる空間だ。
さらにこんなユニークな取り組みも。定年退職される人の半生をまとめた本を、写真とともに、新入社員がまとめているのだ。先輩たちがどのような思いで働いてきたのかが分かる機会になっているという。歴代の人たちの想いが受け継がれているのだ。
従業員の健康づくりにも配慮
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2021年8月に作られた食堂では、従業員の健康に配慮し、栄養のバランスが考えられた食事が提供されている。
広々とした食堂は社員同士がコミュニケーションをとる場にもなっていて、笑顔が絶えない場所となっていた。
事業所内のどのスペースも清潔感があり、清掃が行き届いている。
「お客さんの目が届くところも届かないところもキレイにして、みんなが気持ちよく使えるようにしよう」という会社の考えのもと、「自分が使ったあとは、少しだけキレイにしよう」ということを従業員全員が実践している証だ。
いかがでしたでしょうか。様々な取り組みがされていました。
診療所経営にも置き換えられそうなことがあるのでないでしょうか。
この気づきを診療所経営にも活かしていただければと思います。
次回は、交流会を行った坂井耳鼻咽喉科の取り組みをご紹介します。