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リクルート時代だからこそ、分院長を採用する上で大切にしたいこととは?|院長Q&A

「2022年12月の記事を復刻掲載」
こちらの記事は、2022年12月に公開されたものです。
内容を一部改変してお届けします。


団塊世代の先生方が引退されることで、第三者承継やM&A、不動産売買などの形で物件が多く出てきています。

これまで他の先生が診療を行ってきた場所であるため、他院との競合がなく、分院展開においてメリットだと判断される先生が多いように思います。

そんな中で、「分院長を探す上で気を付けたほうがいいことは何ですか?」という質問をいただきましたので、いまの時代に大切にしたいことをお話ししたいと思います。

ぜひご参考にしてください。


分院長採用はリクルート時代に

かつて分院長の採用は、医局や先輩後輩、友人などの紹介で成り立っていたかと思います。一緒に働いている先生や、先輩後輩の間柄であるため信用度がかなり高いものでした。

例えば、食事会で紹介を受け、「どんな医療をしているか、医療に対する思いは」といったことを互いに話し合うことで人柄も分かりますし、給与面などに関して折り合いをつければ、紹介者の後押しもあり、円満に進むことが多かったのではないでしょうか。つまり、口約束で済んでいたのです。

しかし、ここ最近、この口約束が原因でトラブルになることが増えてきたように思います。

また、時代とともに、分院を出すスピードが速くなり、数も増えてきたことから、紹介だけでは限界を感じるということもあります。さらに医局や先輩後輩の関係性も希薄になり、より紹介が難しくなってきているようにも感じます。

実際に、何軒か分院を出されている先生の中で、「友達が少ないから最初から紹介は期待できない」「大学時代や病院時代に交友関係を広げていれば良かった」とおっしゃっていた先生もいらっしゃいました。

このような背景から、昨今、分院長は「紹介」よりも「リクルートする」というイメージに変わってきているように感じています。

ヘッドハンティング、紹介会社やマッチング会社のほか、リクルートサイトへの掲載や、パンフレットの作成、自身の法人サイト内でドクターリクルート用の専用ページを作っているところもあります。

分院長リクルートにおいて大切にしたいこと

前述の通り、リクルート時代になったからこそ、分院長の採用において重要なことは、「契約とプレゼンテーションをしっかりする」ということです。実際に、分院を数軒出されてる先生方の中で、うまくいっているケースのほとんどが、プレゼンをして契約書をしっかり結んでいます。

紹介からリクルート戦略に変わってきている中で、紹介との大きな違いは、「信用・信頼できる人による紹介がない」ということです。そのため、条件面での折り合いをしっかりつけていくことが大切になってくるのです。

近年、医療業界の一番の課題は人問題に

今までは、口約束が多かった分院長採用でしたが、口約束でトラブルの原因になっていたのが給与面でした。

「雇用契約書をしっかり結ばないといけない」ということが5年ほど前からスタンダードになりましたが、それだけではトラブルは減りませんでした。

雇用契約書だけでは理事長と分院長の間に生まれるすれ違いが無くならなかったのです。

かつては、「売り上げを上げていればいい」という考え方がまかり通ってきましたが、現在の医療業界は、「人問題」が最も大きな課題となっているため、給与面だけでなく、教育費、採用費など様々な形で人にかけるお金が大きくなっています。

つまり、人が辞めることや人が成長しないことなどにおける損失額はそれだけ大きいものなのです。

そのため「売り上げ、患者数を守っている」と言っても、院内のマネジメントができていなければ損失が大きく、利益率が低いという状況になるということが言えます。

もう一つ、今後さらに少子化が進み、働く人口が減っていく中で、より良い人を採用することが法人内の大きな経営課題になるかと思います。

法人でのリクルートのメリットは、手厚い福利厚生、職員が多いことによる刺激があること、教育が受けられることなどです。それにも関わらず、分院の先生がマネジメントをしないと、人が辞めてしまい、法人としてのメリットを活かせない状況に陥ってしまうのです。さらに、リクルートばかりしていると、損害が大きくなってしまいます。

分院長リクルートで伝えるべきことは?

では、分院長のリクルートにおいて、どんなことを事前に伝えておくことが重要なのでしょうか。

それは、「こんな医療をこんな風にやりたい」「どのように運営していくのか、どんな医療をどんな形で提供していくのか」という法人の医療や、医業・運営における価値観です。

この価値観を話していただいた上で、分院長にやってほしいことを明確に伝える理事長が増えてきたように感じています。

「機材や薬、技術を更新していきたい」「人のマネジメントやマーケティングを理解し、職場の雰囲気をしっかり守ってもらいたい」ということなど、分院長に求めることを、しっかりとお伝えいただければと思います。

先生方の価値観とともに、分院長に望むことを伝え、給与面の話もしっかりして、最後は契約書を交わすことが重要だと感じています。

分院長には、「医療と医業を両方ともお願いしたい」ということを事前に話していただくことで、分院経営が上手くいくのではないでしょうか。

ご参考にしてください。

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