スムーズな承継、豊かな人生のための引退のタイミングとは?|院長Q&A
「2023年1月の記事を復刻掲載」
こちらの記事は、2023年1月に公開されたものです。
内容を一部改変してお届けします。
ある院長から「開業医の引退は何歳くらいがよいか」というご質問をいただきました。
IGYOULABを運営しているトゥモロー&コンサルティングでは、65歳以降の人生を謳歌するための閉院や規模縮小、さらに譲渡に関する「引退コンサルティング」も行っています。
60代の先生の中には、「65歳くらいで辞めて、その後の人生を楽しみたい」という先生も増え、考え方も大きく変わってきていると感じています。
今回は、開業医の引退時期についての考え方を実例をもとにお話しさせていただきます。
ご参考にしてください。
自分の子どもに承継するケース
歯科だと30〜33歳、医科だと40歳前後で開業される方が多いかと思います。
自身のお子さんに承継するケースであれば、1つの目安として、お子さんが上記の年齢を迎えた時に院長に就任してもらい、その時が院長先生の引退の時期と考えていただくのはいかがでしょうか?
そのため、承継する約3年前にはあらかじめ、お子さんに「継いでもいいし、継がなくてもいいからね。もし継ぎたいと思ったら、年齢を決めてね。その時が僕が引退するときだと考えているから」と伝えておくことをおすすめしています。
お子さんが院長になる日の前日を、自身の引退日に決めると、承継がスムーズにいきます。引退時期がハッキリすることで、先生自身も資産運用や、パートナーとの人生、その後の余生について考えられるので、期限を決めておくことは大切なことだと考えています。
第三者承継のケース
第三者承継において、大きなポイントになるのは「何を残したいか、何を継がせたいか、その時、自分は何を手に入れたいか」ということです。
例えば、「医療法人格の名前を残したい」「理事長のまま雇われ院長という形にする」「お金を手に入れたい」などが挙げられるのではないでしょうか。
第三者承継の場合、「継いでくれる人がいないから売りたい」と思っている人がほとんどで、売るとなると多くのお金が入ることを望むものです。
当たり前ですが、価値が高いものに高値がつきます。
価値が高い診療所とはどのようなところでしょうか。
・ドクターが多数いる
・有資格者が多くいる
・スタッフがマネジメントされている
・患者数がいる
これらがあればあるほど価値が高くなります。
つまり、患者数だけではないのです。患者数が多かったとしても、先生が辞めると、患者さんが離れるととらえられ、買う側としては価値がないと判断するのです。
もし先生が、M&A、譲渡したいと考えている場合は、いまいるドクター、有資格者、スタッフのマネジメント、患者数、これらの状態が「先生がいるから出来ている」のではなく、クリニックとしての価値だという状態を作るのが非常に重要だと考えています。
このクリニックにドクターがおり、スタッフがマネジメントされていて、クリニックに患者さんが来ているという形になっていれば、診療所の価値が継続するため、第三者承継がしやすいのです。
送りたい人生を考えるケース
承継や売却を考えていないという先生には、送りたい人生を考えていただいています。
例えば、元気で動けるのは80歳まで、体力があって旅行に行けるのは、75歳から80歳くらいまでというようにライフプランニングをするのです。
身体が動くうちに、元気で楽しめるうちに、何をやりたいかを考えて、それまでに、どれだけ資産形成をすればよいか、運用だけでなく、診療所の規模を縮小する形で継続するなど少しでも収入を確保し続けられる方法がないかと考えることも大切なポイントです。
目安があると行動に移すことができます。具体的なプランを想像してみてはいかがでしょうか。