だいきちがハマった深い穴2024夏〜ままならない男ほど沼るって知らなかった〜
死ぬて。
⚠️これは株式会社Jパブリッシング様より刊行されている「宮殿のような屋敷で僕の声を探している」著者キトー先生の読書感想文、大いにネタバレを含みます⚠️
不器用拗らせ努力型攻め、良い〜〜〜〜‼︎‼︎
第二幕行きます対戦よろしくお願いします。
まずクズ攻めこそ至高と思っていただいきちはライル様のおかげで一皮剥けました。責任とってください。ここから先は道連れです覚悟決めやがれ。
ご自宅環境に苦戦を強いられているライル、何度もいうように、タイトルからも読み解けるクソデカ宮殿屋敷(語彙力の欠如)が現住所です。
この世界観でライルが植物状態でも生かされているほどの財力と権力のある環境。普通なら肩幅の広い攻めが受けを100億円で気軽に落札するような展開だって容易なんですよ。
つまり、ありとあらゆる手を使えば、容易く思い人を見つけ出すことだって可能である。
しかしそれを阻む大きな影がある。どんなに手を尽くしても、ターリクへと辿り着けないのだ。
時間はどうあがいたって有限だ。健康を取り戻し、屋敷の中で執務をこなすライルの限られた時間ってなんだよとなるかもしれない。それは命の長さじゃなく、ライルの耳に残るターリクの声の話。つまり唯一のよすががどこまで記憶に残っているか。その時間の長さだ。
知ってるかい、記憶が一番最初に消すのは声なんだってよ。その次が視覚、触覚と続いてく。視覚に収まるターリクの記憶なんて当然ない。触覚だって、活動的になった今、記憶を頼りに探し出すには難しすぎる。だからこそライルは焦っているわけだ。
どれだけ名簿をひっくり返しても見つからない。宴を開いて使用人たちに面通ししても見つからない。挙句ライルの必死さを逆手に取って、偽物も出てくる始末。結果的に屋敷の中の膿をだすことに成功しても、余計な雑音に記憶の中のよすがが削られていく日々。すり減っていくのはライルの精神もまた同じだった。
こんなの自分の立場だったらどう思うよ。物語の中の話だけれど、キトー先生のお話は行間に自己投影させることで読者を引き込む力がある。
この息苦しい時間がどれほど続くんだろう、生きていく上で誰しもが直面するままならなさをライルに投影して是非読んでほしい。
どうよ、すんごい苦しくない? 酸素濃度低っくいやろ。
そうなってくると脳に必要な酸素が回らなくなって、焼けを起こしそうなもんだよな。だけどライルは普通の攻めじゃない。さっき触れたように、ライルは不器用拗らせ努力型攻め様。
この広い宮殿のような屋敷を忌々しく思い、屋敷よりも広い外まで探しに行こうとする。
ヤケになる方向がどこまでも自分を苦しめる選択になっちゃう無自覚努力家ライル様。
もうこの辺りから館内放送つけて呼び出したくなるよねええええだいきちがおせっかい焼きでこの世界の住人なら、ターリク簀巻きにして今すぐ速達でお届けにあがっちゃうよねええターリクちょっと話あるから来なさいそしてカルイ、てめえにはマジで言いたいことが山ほどある。
ただ、追い詰められて苦しむ攻めでしか得られない栄養素は確かにここにある。
しかも何が辛いかって、ターリクの偽物の中でも特に厄介なルクリアという女まで出てくる始末。この女がマジで読んでて頭掻きむしって発狂するかと思うくらい周到で、ライル様の聞き間違いの可能性をつくりやがる。
なーーーーーーにがルクですかコンニャロっお前どこぞの回しもんだか知らねえけんどあんまちょづいてっといてまうどコラ!!!おまっ、アーーーーーだめですライル様そっちじゃないそっちじゃないからその優しさはこんなあばずれに捧げたらダメええええ!!(大発狂だいきち)
酸素薄いエベレストの山頂でヘヴィメタルライブかますかのごとく肺を酷使して読みました。もう生命保険を誰か紹介してください(憤怒)
でもさすがは我らがライル様。”探し人が見つかった”という仮初の安堵であるルクリアを「お前への信用など、はなからない」と言ってくれる。
ッカーーーーーーまじでもうかっこよくて死ぬ無理俺もそんなこと言いたいライル様ばりの上等な雄になって可愛い受けちゃんをヒイヒイ言わせたい死ぬ死ぬありがとうございますゲヘヘヘへ
まじでよがったよ゛お゛お゛!!!!(咽び泣くだいきち)
ほんとこのストーリーの運び方最高かよライル様かっこいい最大の見せ場と言ってもいいよなぜなら後半からどんどんライル様おかしくなってくから(褒めてる)
ルクがターリクのフリをして近づいたことに気がついていたライル。正体を暴かれ、後戻りできなくなったルクは、どうせそんな奴初めっからいないんだよ!!と暴言を吐く。マジでこの女の性格は悪いので染色体から作り直したほうがいいと思います(怒)
しかもこの女の正体は……といいたいところだが、これも鮮やかな伏線回収を見てほしいので本編で確認必須です。
裏の立役者はルルですう!!!!でかしたあああああ!!!!
しかし強がったところでライル様の心の疲弊はかわりなく。屋敷中の名簿をひっくり返して探しても出会うことのないリクに、どこか冷静なライル様が己自身に問いかける。ほんとうにそんなやつなんているのか、と。
確かに妨害は受けている。しかし理由の八割以上はターリクの名前にあった。
何せターリクが本名で、ライル様の探すリクという名前はターリクのあだ名だったからだ。
体が使えなくなってから浮き彫りになった大人たちの確執
実はリクって名前じゃなかった
屋敷中の名簿をひっくり返すライル
記憶だけが頼りの曖昧な存在リク
リクを名乗る不届きものの出現
追い詰められている故の疑心暗鬼
なにこれ苦難のミルフィーユじゃん。
攻めだけに厳しい世界線……惜しまぬ努力と必死感……良い……
もう広すぎるから見つからないんやって自分の生家から出て行こうとしている時点で、ターリク、もといリクへの愛情の深さを感じるよな。マジでうまいほんと表現方法に読者に想像の余地を残しているのも本当にうまい。ずるいいかっこいいいレベル高いいい(大泣)
何よりまた時の経過をミランの花が芽吹く季節で表現。情景描写に余韻持たせるのが本当にすごいので本の内容もそうなんですがとにかく皆んな情景描写もしっかり想像しながら読んでくれ……
ライルが寝たきりの時にリクが呟いた、ミランの花を一緒に見るという夢だけを追いかけて気力を持たせているんやで、顔も知らんのに帰巣本能にもにた執着が本当にいい、純粋を兼ね備えた執着あたらしい扉はこちらです……(急になんか言い出しただいきち)
ライルは顔も知らぬリクがどんな姿でも構わないって思っている。誰だって選び放題な恵まれた男が、リクの心に心底惚れて彷徨い歩く、夜の庭。こんな上等な亡者が居るんなら是非両手広げて迎え入れたいことは山の如しだろう。だけど君はお呼びでなくリクなのだよ。(黙れ)
どうか素敵な夜にしてください、読者はわかっています、いよいよ、この流れはいよいよお目見えなのですねってイマジナリーお嬢様がハンカチ片手においおいしていただいきち。
ままならない気持ちを花にぶつけようとして踏みとどまったライル。ちゃんと踏みとどまったのに、「あーーっちょっと何してるんですか!?」とリクが現れる。
わかる、わかるよ手塩にかけて育てたお花だもんね!だけどリク君ちょっと許してあげようか!!ライル様踏んでないからさ!!不届きものの一歩手前でえいやって止まったから(必死)
まるで我が子の不始末を庇う母親の気持ちで、だいきちはライルの前に踊り出たかったですう!!!
まさかこんな間抜け(褒めてる)な出会いがあるだなんて……好き!!
受けと攻めのドラマティックな出会い、とはいかないところも最高にリクがリクしてて好き……お前は本当にちょっとずれてんねん、感じたほうがいいライル様との温度差を(最高に褒めてる)
リク曰く、パンに塗ったブルーベリージャムよりも青い瞳に宿す、ライルの口にはできない様々な思い。この部分は本当に美しい挿絵で表現されているのでこちらも本編で確認してくれ……123ページや……(遺言)
そしてお忘れなきようにもう一度書いておくと、リクはライルが知らぬまま逃げ回っていた受けである。当然屋敷の中の誰よりも風貌が違うその姿を見て、まずい。と思うわけである。
でもライルの腕にはリクが市井で買ったハリボテの腕輪を後生大事につけていた。いいか、ライルがカルイに強請られて安物の腕輪と上等な菓子と交換したアレである。
重要なのは、まだリクに出会えていない状況だったのに、ライルは無意識下で繋がりを見出していたのである。
なおリクは安定なリクなので、なんだか見劣りする腕輪つけてんなとしか思ってない。
お前があげたやつや!!!!wwwww
そして、読者の願いが通じたのかリクが鈍臭いのか、はたまたライルが超人的な速さで抱き込んだのか。リクは無事にライルに捕まり抱きしめられます。
でかしたーーー!!!!確保、確保ォオオオ!!!!(心の叫び)
──── 腕の力強さから、たとえ地球の裏側だろうと、深海の海底だろうと地獄の果てだろうと絶対に逃さないという意志が伝わってくる(作中から抜粋)
ライル様😭
リクが軽く恐怖を感じるというのも伝わってくる表現、キトー先生の真面目な文体で繰り出される唐突なシュールに、だいきちはこのシーンでブッフォと笑いました(スタンディングオベーション)
そして、ライルによって拉致されるリクであったが、このシーンでの外から屋内への切り替わり描写がほんとうに滑らかで秀逸。
なんでこの一文がすごいかというと、小説の当たり前として、読者が目で見るのは映像ではなく文字である。なので文章で説明しなくてはいけないので、どうしても精緻を極めようとすると瞬きひとつ分の一瞬の描写も、長くなりがちだ。
なのにキトー先生の屋外から屋内への切り替わりはサラッと書かれている。一見淡白に見える一文だが、ここまで削ぎ落として最低限の描写で収めるには、どれだけ前後の描写で読者に映像として受け取ってもらえるかが重要になってくる。なによりも、このサラッと書かれている一文が、読者の視線を停滞させないだけでなく、ライルのうちに秘める焦りすら行間ににじませている。中だるみのない美しい描写がほんとうにすごい。だいきちは毎回地の文を削るのに頭抱えているので、嫉妬してしまうくらいかっこいいのだ!!
わかるか!!わかってくれ!!ここもぜひ頼むから注目して読んでほしい!!!!一生のお願い127ページですよろしくどうぞ!!
やばい。もう4000文字を超えました(震え)
とりあえずこの流れからわかるかもしれないですけどエピソードが増えます、次回、いよいよふたりの蜜月編!!
すまん三部作で終わることを祈っておいてくれ(悲鳴)
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