救急医療と薬学生!大学では何を一生懸命勉強すれば良いですか?
救急医療の現場を見学した薬学生の皆さんから、「患者さんの病態を把握するために、どのような勉強を重点的に行えば良いですか?」という質問を多く受けます。 救急外来で医師、薬剤師、看護師が連携し、患者さんのために最善の治療を目指している姿は、若き薬学生の心を惹きつけるのかもしれません。
この質問には、「正直、全部だよ」と答えています。基礎的なサイエンスに関する知識は、多ければ多いほど臨床能力の厚みと深みが増すと考えています。私は中学、高校ではあまり勉強しない学生でしたが、大学の授業は楽しくて真面目に取り組みました。その知識が今も活きていると感じています。
強いて言えば、機能形態学、生化学、薬理学、薬物動態学は薬剤師にとって非常に重要な学問分野だと考えています。特に解剖生理学の知識が不足していたため、臨床では最初に苦労しました。薬の知識があっても、それが作用する人体の構造や機能に対する理解が深くなければ、まるで鍵と鍵穴が合わないように、効果的に薬物治療を行うことができません。
救急集中治療の現場では、細胞レベルでの理解が不可欠です。患者さんが低酸素状態に陥っていないか、栄養が効率的に吸収されているかなど、生化学的な視点で状態を評価する必要があります。
そして、薬剤師の専門分野である薬理学と薬物動態学は、より深く掘り下げたい魅力的な領域です。薬の作用機序や体内の動態を詳細に理解することで、より最適な薬物療法へと繋げられると考えています。
救急医療の現場では、生死をさまよう患者さんの命を救うため、多職種で構成される医療チームの総合力が不可欠です。薬剤師の未来を担う薬学生が、基礎的な学問を基盤に、薬物治療において重要な役割を果たせるよう、臨床の場で実践的な学びの機会を提供していきたいと思っています。