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救急医療における中毒診療と薬剤師:薬剤師国家試験から実践知まで

救急外来には日々、様々な患者が搬送されてきます。その中には、多種多様な中毒患者が含まれます。医薬品の過量服用、火災による一酸化炭素中毒、農薬の誤飲など、ケースは実に様々です。

中毒診療は、薬剤師がその専門知識と技能を存分に活用できる分野のひとつであると私は感じています。実際、救急外来に薬剤師が常駐している医療機関では、中毒患者の対応において医師が薬剤師に相談することも多いと考えられます。

薬剤師国家試験においても、衛生薬学や実務に関連して、中毒に関する問題が数多く出題されています。例えば、第108回薬剤師国家試験 問230-231では、以下のような問題が出題されました。

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28歳男性。勤務先のメッキ工場で、ビンに小分けしてあった液体を誤って飲用した。その直後に苦しがったため、近くにいた同僚が救急車を要請し、救急搬送された。来院時、頭痛、悪心、嘔吐及び頻脈を認めた。胃洗浄時に採取した胃内容物をシェーンバイン法により検査したところ、グアヤク試験紙が青色へ変化した。

問230
 この患者が摂取したと疑われる物質はどれか。1つ選べ。

  1. ヒ素

  2. トルエン

  3. ジクロルボス

  4. シアン化カリウム

  5. n-ヘキサン

問231
 この患者に用いる解毒剤として適切なのはどれか。2つ選べ。 

  1. プラリドキシムヨウ化メチル(PAM)

  2. 硫酸アトロピン

  3. ヒドロキソコバラミン

  4. 亜硝酸アミル

  5. ジメルカプロール

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この事例は、私自身の経験とも重なります。実際に、シアン中毒患者が搬送された際、トキシドロームの判断から解毒薬の提案まで、一連の治療に関与する機会がありました。亜硝酸アミルのような特殊な解毒剤について、添付文書で使用方法を事前に確認しておくことをお勧めします。

解毒薬の名前だけでなく、投与量や使用方法を頭の片隅においておくだけでも、いざという時に冷静かつ迅速な対応が可能になります。

医師
「シアン中毒と判断します。亜硝酸アミルはどのように使用するのですか?」

薬剤師
「亜硝酸アミルのアンプルを砕いて、バックバルブマスクに入れて、亜硝酸アミルを吸入させます」

医師
「タイミングはどうしますか?」

薬剤師
「周囲の人が吸入しないよう、室内の換気をして、先生の合図で私が砕いてパスします」

医師
「分かりました。よろしくお願いします」

中毒診療において、薬剤師の知識と経験は非常に重要な役割を果たします。日頃からの準備と研鑽が、急を要する場面での適切な対応につながると考えています。




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