抗凝固薬を飲んでいる?薬剤師×救急医療×薬剤師
外傷、脳出血、消化管出血などの患者さんが搬送されてきた場合、緊急の止血処置が求められます。これらの患者さんの中には、心房細動や深部静脈血栓症などの予防のために、抗凝固薬を服用している方が多くいます。
抗凝固薬は出血のリスクを高めるため、緊急手術や処置の際には、その作用を中和する拮抗薬の投与が検討されます。しかし、抗凝固薬の種類によって、有効な拮抗薬が異なるため、患者さんが服用している薬剤の正確な情報が不可欠です。
特に、生命の危機に瀕している患者さんの場合は、一刻を争う状況下で適切な判断を下す必要がありますので、服用中の薬剤を迅速に把握し、最適な治療計画を立てることが求められます。
患者さんに『普段、どんなお薬を飲んでいますか?』と尋ねても、正確な薬の名前を答えられる方は多くありません。意識がはっきりしている方でも、薬の名前を忘れてしまっているケースや、漠然と『血液サラサラの薬』としか覚えていないケースがよくあります。意思疎通が難しい患者さんの場合は、さらに情報収集が難しくなります。
しかし、そんな時でも、受診している病院の名前や、他院の診察券を持参されていることがあります。薬剤師は、そうした情報をもとに病院に連絡し、薬歴を集めることがあります。中でも、病院の薬剤師は、患者さんの薬に関する最も正確な情報を提供してくれる貴重な存在です。 事務の方や他の医療職種の方と比べ、薬剤師は患者さんの薬歴に精通しており、迅速かつ正確に情報提供をしてくれます。同じ薬剤師同士だからこそ、普段行っている業務や思考を理解しているため、安心して薬歴に関する問い合わせを行うことができるのです。
この連携は、特に救急医療の現場において重要です。患者さんが服用している薬の情報は、適切な処置を行う上で不可欠です。薬剤師同士が連携することで、迅速に薬歴を収集し、拮抗薬の投与など、必要な処置をスムーズに進めることができます。