やっちゃば一代記 思い出(18)
大木健二の洋菜ものがたり
市民権取れません
食用タンポポ
新しい野菜、珍しい野菜なら私のところに必ずある、と周りから見られていたものだから、あまり儲からない野菜でもついつい揃えてしまっていました。食用タンポポもそんな野菜のひとつでした。わたし流にいうと、いまだに市民権を取れていません。築地時代に取り扱っているたのは一軒か二軒ぐらい。イギリスでは古くはピサンり(おねしょの意味)と呼ばれていました。
その意味から分かるように、あまり愛着を持たれていなかったらしいですね。一方、フランスでは促成栽培用の変種まで開発され、国民に大変な人気があります。とくに、野生の茹でたタンポポは葉はちぢれ葉のエンダイブに劣らないおいしさがあると評判です。英仏の国民気質の違いなのでしょうか?そこで、一般の方々にもぜひ試して欲しいタンポポの食べ方を紹介したいと思います。春、河原の土手などに自生しているタンポポの咲いているところを覚えておいて、九月になったら、なるたけ大きいタンポポの根を掘り出し、さらさらの土かピート入りの箱に詰めて、調理台の隙間のような日陰に、湿気っぽい状態にして保存してみてください。一ヶ月くらいすると、生長したタンポポは、お浸し、和え物として食べられます。
※食用タンポポ
ヨーロッパ原産で帰化植物として世界中に分布していますね。
キク科タンポポ属の多年草です。春に直播きまたは育苗します。葉が繁茂
した段階で切り取り収穫します。
日本でも純国産はヨーロッパ生まれの西洋タンポポに駆逐されてしまった
様です。和製は葉が直立しますが、西洋ものは後ろに反り返るのが特徴で
す。都心では青山墓地などに群生しているのが見られます。
ハウス栽培では、葉が繁茂した段階で切り取り、収穫されます。特有の苦
みがあり、サラダ、お浸し、和え物に使われますね。