あの日あの時
やっちゃば一代記 大木健二の洋菜ものがたり
洋食新時代の幕開け
「スエヒロ」は忘れることのできないレストランです。
大阪商人の山根、千田、上島の三氏が新しい土地で、新しいことを始めたのですから、当時としてはその発想と行動力はたいしたものです。
開店当初の銀座2丁目越後屋ビルの1号店(昭和9年開業)ではカウンターに10人くらいの客しかいなかったのに、5階と6階に移ってからは破竹の勢い
ランチはA・B・Cの3っで、スープに生野菜、フライドポテト、さやまたはインゲンの青み野菜にトマト、そしてクレソンが必ず付いていました。
わたしは時代の先端を行くステーキをご馳走になるかたわら、パーティーの手伝いなどをしながら、お客様ががナイフやスプーンの使い方に戸惑ったりフィンガーボールの水を飲んだりしている光景を見せてもらいました。
それは単に面白い光景というよりは洋食時代の幕開けとして目に焼き付いたのです。
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