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ジャパニアスの最新決算についてのまとめ

1. 決算ハイライト(2024年11月期)

• 売上高

112億11百万円(前年比 +13.4%)
コロナ禍で高まったIT需要や、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の波に乗って、売上が大幅に伸びました。初めて売上高が100億円を突破し、過去最高益を更新しています。

• 営業利益

9億45百万円(前年比 +13.0%)
一部で稼働率の低下(特に上期)があったものの、採用強化や高単価案件の拡大により堅調な利益成長を実現しました。

• 経常利益

10億22百万円(前年比 +17.1%)
営業外収益(助成金や手数料収入など)が増えたことで、経常ベースでも大きく伸長。

• 当期純利益

7億22百万円(前年比 +17.3%)
一株当たり当期純利益(EPS)は181.51円へ上昇。高い利益成長率を示しています。

• 売上高営業利益率

8.4%(前年8.5%)
わずかに低下しているものの、ITサービス企業としては堅実な水準を維持しています。

2. 財務状況のポイント

• 総資産

49億49百万円(前年比 +3億64百万円)
うち、流動資産(現金や売掛金など)が増加し、キャッシュポジションが厚くなっています。

• 純資産

29億96百万円(前年比 +1億39百万円)
利益の積み上げで純資産が増加。ただし自己資本比率は60.5%(前年62.3%)とやや下がりました。
これは負債(未払費用、預り金など)が増えた影響が大きいものの、依然として財務基盤は安定的です。

• 自己資本比率

60.5%
一般的に40%以上あれば安定水準と言われるなか、6割超は十分に健全と考えられます。

3. 稼働率・一人当たり売上高から見る成長力


・稼働率

上期は研修中のエンジニアが増えた影響で、稼働率が94.6%に下がりましたが、採用を抑制した下期には96.4%まで改善。通年平均では94.0%と前年より少し低下しましたが、大量採用による一時的なものと見られています。

・一人当たり売上高:月平均58.4万円

前年より伸びており、経験者の単価アップや研修効果に伴う付加価値向上が寄与しています。
エンジニア数は前年比+99名と拡大する中で、一人当たり売上も伸びている点は今後の成長における好材料です。

4. キャッシュ・フローの動き

営業キャッシュ・フロー

9億38百万円(前年比 +3億71百万円)
• 当期純利益の増加や、法人税支払いが3億円程度で抑えられたことがプラス要因。
• 未払費用の増加もキャッシュ・フローを押し上げています。

投資キャッシュ・フロー

-31百万円
• 無形固定資産(ソフトウェアなど)の取得や投資有価証券の取得が中心。
• 投資額自体は前年から減っており、キャッシュ流出を管理しながら成長投資を継続している印象です。

財務キャッシュ・フロー

-583百万円
• 配当金の支払い(約4億94百万円)や自己株式の取得(1億円)が大きな支出要因。
• 積極的に株主還元を行いつつ、内部留保も確保している状況と言えます。

5. 今後の業績見通し(2025年11月期)


• 売上高:120億50百万円(前年比 +7.5%)
• 営業利益:10億40百万円(前年比 +9.9%)
• 経常利益:11億30百万円(前年比 +10.5%)
• 当期純利益:8億円(前年比 +10.7%)
• 一株当たり当期純利益:200.81円

ITインフラやソフトウェア開発を中心に、堅調な需要を見込んでいるようです。エンジニア不足が続く市場環境を追い風に、一人当たり売上高のさらなる向上と稼働率アップで成長を狙う方針と見られます。

6. 配当方針と株主還元の取り組み


• 今期(2024年11月期)は年間配当金95円(前年比+18円)を実施。
• 配当性向は52.3%と目標(50%)より少し高い水準。
• 来期(2025年11月期)は年間配当金99円(前年比+4円)の予想。
• 配当性向は49.3%を見込んでいます(目標は50%)。
• 過去4期の配当実績を見ると、55円 → 77円 → 95円 → 99円(予想) と右肩上がり。
• 業績拡大に合わせて継続的に増配しており、今のところ株主還元への前向きな姿勢がうかがえます。
• 同社は「配当性向50%を目安」としながらも、人材育成・IT投資など成長分野への投資も重視しています。

7. まとめ

ジャパニアスは、IT人材不足を背景に、アプリ開発やインフラ構築などのサービス需要が高まっていることから、着実に業績を伸ばしてきています。初の売上100億円超えという節目を迎え、過去最高益を更新するなど、成長軌道に乗っている印象です。

一方で、大量採用による研修期間の影響で稼働率がやや落ちる場面も見られましたが、下期には改善の兆しがあり、今後は採用数や研修プログラムをうまくコントロールしながら成長を加速させると考えられます。エンジニアのスキルアップが続けば、一人当たり売上高のさらなる上昇も期待できそうです。

配当については、利益の半分近くを株主に還元する姿勢を継続しており、来期も増配の方針を掲げています。IT業界の需要増を追い風に、しっかりと利益を出しながら、株主還元と成長投資の両立を図ることができるかどうかが、今後の注目ポイント。



免責事項: 本記事はジャパニアスの決算資料をもとに、執筆者の個人的見解をまとめたものです。投資判断はご自身の責任で行っていただきますようお願いいたします。

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