「影の立役者」
わたしがジャケットの中に着るアイテムに
注目し始めたのには訳がある
数年前までは
ジャケットの下に着るものと言えば
装飾のないTシャツや
てろんとした生地感のブラウスのようなものだった
それしか知らなかったから
それが正解と、どこか思っていた節がある
そういう意味では、ジャケットを着る時
深刻に悩むこともなかったように思う
手持ちのアイテムを
パズルのようにはめこんでいくだけで
きちっと決まってくれる
それは長年にわたり
ここちのよい安心感を与えてくれる手札のようでもあった
ところがある時、転機が訪れる
それはじぶん史上、
ファッションにおける大変革が起こった瞬間でもあった
フロックカットソーという存在が
これまでのジャケットとの付き合い方をガラリと変えることになる
無地で落ち着いているインナーには
これまで何度も支えてもらってきた
だけれど
フロッキーによる綺麗な模様で彩られたフロックカットソーには
全体をグッと華やかに見せてくれる効果があったり
寂しかったコーディネートが一変
明るさを取り戻したように見えたりと
おしゃれにひと役かってくれる存在であることを
如実に感じることができたのだ
それは” 影の立役者” ではなく
もはや” 主役 “と呼んでふさわしい
フロックカットソーの可能性に
静かに胸が震えている
モノトーンは確かに落ち着くし
全てが正解に思えてくるけれど
年齢を重ねるにつれ
お花に目が留まる機会が増えるのと同じように
自分自身を彩りよく華やかに飾りたい
今日という日を美しく活きたい(生きたい)
そういう気持ちが芽生えてくるのも自然な事と実感することも多くなった
鏡を覗いた時に
安心感のある装いもきっと必要ではあるけれど
時々じぶんを主役に咲かせてみる
そんな日が1日、また1日と増えていくと
きっとこれまでとは違った景色が見えてくるはず
だからカラー違いで集めたくなってしまう『フロックカットソー』は
いつのころからか
毎年1枚プラスオンすることが
わたしのひそかな楽しみになっている