日本中、 8月に雪が降る地域はどこを探しても見つからないと思うけれど この季節に出会った「ライ」は雪のように繊細で その白さから目に浮かんだのは 両手いっぱいに広がる雪原の風景 まるで8月に現れた雪の原っぱのようだった 白だけでも600色存在すると聞いたことがあるけれど 雪に隠れた、真っ白いうさぎを そこから見つけ出すことは やはり難しいことなのだろうと 膨大な白の数からも容易に想像することができた そして 600色もある中から 「ライ」の色を見つけ
夏の日差しの中で 時々、眩しさを忘れてしまうくらい 美しい輝きを放つヒカリに遭遇することがある その美しいヒカリは 周りの気温と混ざり合う事で クラクラする強烈さも合わせ持っているのだけれど 時に ひと休みしたベンチの横に立つ 大きな木の垂れ下がった枝葉の隙間から 優しく降りそそぐ木漏れ日になってみたり 水面に浮かぶ鳥たちが水浴びするたび 弧を描いた水滴の円のなかに散るビー玉のように 七色に光ってみたり まばたきした瞬間に “パッ” と光って ア
鏡の前で袖を通したシャツを整えていると 無意識にパンツのポケットに手が伸びて それに驚き、思わずハッとした いつもはそんな風にすることがないだけに 自然に見えた一連の動きが 妙にかっこよくて、 そのなせる業はいったいどこからきたものかと考え込んでいると しばらくして それは、どうやらシャツから香り立つ ハンサム匂からきているようだという結論に思い至った その、いきすぎないハンサム感は 無意識にそれを印象付け さりげなく 見る人のこころをくすぐることで
不思議なもので こんなに夏の最中を生きているのに 夏の半分を過ぎたあたりから 秋の入り口に焦点を合わせ始めている自分に気が付いた それでも クローゼットの真ん中は まだ夏のお洋服たちでひしめいている 夏服の生地からは 気温で蒸発し 潤いを失ってしまったような渇きを感じたり 日に当たって色が褪せた部分の境目が 見て取れるほどになってきていたりするけれど それは、味が出てきた証拠だとわたしは思っている もうしばらく夏との付き合いは続いてゆくというのに
入道雲が水平線からせり出した景色が 夏の中で一番好きな光景だ 8月の空は真っ青で どこか強気な感じがしていたはずなのに 毎年思うのは 砂浜から眺める遥か遠くの空は ちょっと、寂しげで儚げに見えていたということ 情緒感たっぷりのその空を眺めていると この季節の終わりが近づいていることを 感じずにはいられなってしまう だからこの時期、この場所には Tシャツにデニムの組み合わせはもう不釣り合いな気がしてしまうのだ 空はまだまだ青い それでも Tシャツでは
きょうのおでかけのおともは、君だよ そうつぶやいて、片手ですくいあげたグレーのバッグ 扉を開ける前 鏡に映った姿におもわず吹き出してしまった 主役のバッグに気を取られてばかりいたけれど こころはしっかりebagosのカラーに 影響されてしまっている・・・・ 波のように美しく流れる 『グレーのグラデーション』 それぞれのアイテムは個性的なのに 不思議とカラーの繋がりが引き金となり 調和の取れたコーディネートに仕上がった気がする クローゼットのなかは好きな
もぎたてのフレッシュな果実のように みずみずしい光沢で光を反射しているブラウス 一目見て 昔から知っている”ピンク”とは少し違うとおもった 一見、躊躇してしまうような驚きはあるけれど そこに異国の風を感じ 改めてそれが魅力なのだと気が付いた 目を奪われるのは 生地の奥が見通せてしまうほどの 羽根よりも軽そうなその透け感だ そして、後ろから見た姿には 緻密な計算のなかに現れる大胆な生地使いがあって 歩く度に出現する光沢の波が作り出してできた陰影が 息を
どこに行っても 上がり続ける気温の高さに うんざりする日々 こどもの頃に駆け回った季節とは 180℃違う今を生きているんだと、 半ば諦めに似た心境にさえなってきてしまう 夕暮れ時は きまって傾いた西日を背に帰宅していた頃が 別の世界の事のよう思えるほどだ 夕方に風が吹かなくなった・・・ そんなちょっぴり、寂しい現実を受け入れながらも だからこそ わたしはウエィヴィシャツに袖を通す 何度目かのある日 ウェイヴィシャツを着ると なぜか体の周りで風がは
わたしがジャケットの中に着るアイテムに 注目し始めたのには訳がある 数年前までは ジャケットの下に着るものと言えば 装飾のないTシャツや てろんとした生地感のブラウスのようなものだった それしか知らなかったから それが正解と、どこか思っていた節がある そういう意味では、ジャケットを着る時 深刻に悩むこともなかったように思う 手持ちのアイテムを パズルのようにはめこんでいくだけで きちっと決まってくれる それは長年にわたり ここちのよい安心感を与えて
かたずかない、かたずけものが気になって バタバタしていたある日の夜 1本の着信音に心臓がドキリと跳ねた 驚いて見てみると 家族からだった 「遅い時間にごめんね」 一番身近な人の、聞きなれた声 ほっとした瞬間に その場にぺたんと座り込んでしまった 「今日は大変だったんだぁ、 部屋もかたずかないし・・・・」 思わずこころの中でつぶやき続けていた言葉が出てしまった 社会人になって、何年経っていたとしても 声音を変える必要のない相手との会話は 甘える特権を
『 MIDNIGHT 』 この言葉を目にするたび みみにするたび いったいどんな色をさすのだろうかと いつも想像を巡らせてきた 辞書で調べれば『夜中』と書いてある そう、深夜のことなのだ ”midnight” と呼ばれる時間帯を切り取って ”色”にそれを当てはめているのだ ラジャスタンドレスから夜を連想する ドラマチックなネーミングに 新たな夜の魅力に気がついた 黒に近いネイビーはまさに 遥か古代の夜空のようだ 月が出ていない真っ暗な空を懸命に想像
1枚で着ようかな そんな気持ちで選んだ「ジャスミン」ワンピース 綺麗な色に惹かれて 絵画を鑑賞するような気持ちで クローゼットにも仕舞わず 壁の一番お気に入りのスペースに掛けておいた 1枚で着てみようと思ってはいたけれど 思いがけずコーディネートがあれこれと浮かぶので この夏を乗り切る為のワードローブが 少し物足りないことに気づいてしまった 1枚で着ることを想定しつつも 少しずつ気持ちに欲が出てきてしまい 1枚 また1枚と 「ジャスミン」を彩るため
先日、朝早くから映画を鑑賞した レイトショーで観たそれは、 何十年も前に上映された映画だ 当時は、単館映画がブームになっており 映画を見に行くことがおしゃれだと思っていた時期だったわたしは 映画の内容よりも ”映画を見ているわたし” に注目していた頃でもある 年月が過ぎ、その映画がリバイバルされたと知り 突然懐かしさがこみあげ、急遽でかけた映画館 あの頃見た映像は、記憶にはなかったので 今回は、まっさらな気持ちで鑑賞することができた ハッとしたのは そ
ボーダーにも合わせたい・・・・ そんな気持ちが先だって選んだebagosの ”ポケットオーバル” シックで飽きのこないデザインと 秋のやさしい日差しが 「こっちにおいで」と言ってくれているような親しみやすさ ebagosと言えば カゴの部分にいつも胸がときめいていたけれど 実は キャンバス部分を折りたたんで コンパクトサイズになった時の 空気が抜けてしぼんでしまったプールのような 無防備さで キャンバスならでは”柔軟性”を伝えてくる その柔軟さに救わ
街がいつもよりにぎわって 喧騒も心地よい そう、今は 待ちに待った花火の季節 そんな夏の夜は なんだか気持ちが浮き足立って いつもの帰り道もちょっとそわそわしたりして。。。 1年ぶりに おなかに響く大音量を背中で聞きながら 急ぎ足で待ち合わせ場所へ向かった 普段と変わらない中に 去年とは一味も二味も違った漂う何かがある 嬉しい変化や楽しい出来事 我慢のしっぱなしから こころのギュッと硬くなっていた部分が 少しずつほどけて 静かに柔軟性を取り戻して
木の葉は青く 新芽は若い緑色で 誇らしげに枝葉を伸ばしている様は 太陽に歓迎されたものだけが持っている輝きのようでもある ジャスミンは 何色?と一見思ってしまうのだけれど 青々と茂る木々の下になぜかマッチして この季節たくさん着たいって思うワンピース ひらひらと 裾を風になびかせて 花びらが散りばめられた生地に目を落とす 深みのあるこの色はやっぱりきれいだな・・・ あれ? そういえば、ジャスミンって何色だったっけ? ふとそんな突拍子もない疑問がわく