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月の満ち欠けのように
1日が終わり
なまりのような疲れを背負い、駅の階段をくだる
1日が過ぎ去ったことだけは認識できている
ちょっとしたことで
じぶんの欠けている部分にフォーカスが当たり、肩をおとした
服のシワさえも、自分を責めているような感覚になる
お気に入りのバッグは、いつもより少し重かった
階段を下りる手前で見上げた三日月
光に照らされた白いシャツは、白さをより際立たせた
月の欠けているさまは、あんなに美しく人々の心(眼)に映るんだ
何かが足りないとは思わなかった
![](https://assets.st-note.com/img/1708933110392-APQED1Zv5d.jpg?width=1200)
瞼に映った月をみながら
それはじぶんにもあてはまるだろうかと自問する
春の夜風はまだ冷たくて、
指先の感覚がなくなるほどだったけれど
三日月だったはずの月に今いちど目をこらしてみる
ちゃんとまぁるく影が見えた
欠けてはいなかったのだ
ほっとして冷え切った手をポッケに差し込むと、指先がじんわり暖かい
わたしもきっと、欠けていなくてちゃんとまるい
![](https://assets.st-note.com/img/1708933110358-AwvBBC0UEn.jpg?width=1200)
ときおり 〝それは〟隙間からすっと入ってきては
わたしをおびやかすのだけれど
それが幻想と気づけば
満ちたり欠けたりするこころ模様のように
自然と心もおちついてくる
見えないだけでちゃんとある
その月はこれからもまるい存在で
わたしたちを照らし続けてくれるのだろう
満ち欠けを繰り返しながら