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風と会話する




どこに行っても

上がり続ける気温の高さに

うんざりする日々




こどもの頃に駆け回った季節とは

180℃違う今を生きているんだと、

半ば諦めに似た心境にさえなってきてしまう






夕暮れ時は

きまって傾いた西日を背に帰宅していた頃が

別の世界の事のよう思えるほどだ





夕方に風が吹かなくなった・・・



そんなちょっぴり、寂しい現実を受け入れながらも


だからこそ

わたしはウエィヴィシャツに袖を通す




何度目かのある日

ウェイヴィシャツを着ると

なぜか体の周りで風がはしゃいでいることに気が付いた




袖から


裾から



じゃれるように

わたしの周りで風が遊んでいる




ウェイヴィシャツ BLACK」(soutiencollar)「モイスチャーパンツ」(soutiencollar)ブーツ(3.1 Phillip Lim)


いたずらっ子のように

ふわりと裾をめくりあげるたび


あわてて裾を押さえるわたしを

どこか面白がっているようにも見える風たち





どこからか舞ってきて

いつのまにか消え去ってしまう風だけれど


気が付けば

すぅーっと汗が引いて

心地よい余韻だけが残っている






自然とあそんで育ったわたしには

その優しいたわむれが嬉しくって

あれから何度もウェイヴィシャツを着るようになった



風とたわむれることができる唯一の時間に

いつものように耳を澄ませていると

風が遊ぶ声が聞こえるようだった


しばらくすると

まるで小さな鈴のねのように

涼やかな音で耳に心地良く鳴り響いた





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