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自分を受け入れる旅:M男子の恋愛と性愛の探求(往復書簡)その3

自分自身の中にいる男の子へ

返信ありがとう。
前回、送った手紙には、自分がM性を自覚した時の話をするって書いたけど、まずは君の返信に答えるよ。

君は僕が男の子に生まれたことを不幸だと考えているみたいだね。
君の考えている通りだよ。

僕は僕が男の子でなかったら、僕の存在は認められてたよ。
女の子の身体であれば、僕の存在は多くの男の子が求めるもので、求められる幸福の中で生きていけたはずなんだ。

ただ不幸なことに、僕は男の子の身体に宿ってしまった。
そう、まさに君の中に。

でも、君はその運命を受け入れるべきだと書いてたね。
それに男の子だからこそ、Mの子である意味があるとも。

君の言うことはよくわかる。
本当の僕は、男の子の運命を引き受けたいんだ。なぜなら、男の子の身体が責められてるからこそエクスタシーを感じるからなんだ。

ところで、君は僕のことをどう思ってる?
君から僕をどう思ってるか、聞いてなかったからどうしても聞きたいよ。

さて、ここからは、僕が本来書きたかったことを書くよ。
僕が君から分離したタイミング。
つまり、自分がM性を自覚したあの瞬間のこと。

僕は君の中で、自覚することなく存在したんだ。
それで僕が生まれた瞬間、僕は僕を自覚することになった。
君は高校生のころ、いわゆるイジられキャラってやつだった。
あのことの君は、イジられることを受け入れて、そこから出る自分を伸ばすようにしてたね。
僕は、その延長線上で生まれた存在だった。
君がいつもイジられてる友達と戯れあってた時に、太ももに友達の手が触れたね。
君は、身体をビクッと震わせて、その手を振り払った。
友達はそんな君の仕草を見て、「そんなんでアレの時どうするんだよ」って言った。
僕はその声を遠くに聞きながら、僕の身体に起こった反応に何かわからないけど、その強い刺激は強い快感を与えたんだ。
そしてそれを快感として受け止めたのは僕だったんだ。
僕が僕を自覚したのは、この瞬間だった。
でも、この自覚には、まだ名前がついていなかった。
僕は名無しとして、この世界に誕生したんだ。


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