ヲヲヲのヲリヒメ
彦星を待つ織姫は
『そろそろかな』とスマホを開いて時刻を確認した。年に一回しか会えないのに近年は遅刻がちだ。年に一回っていう約束が返って不安になってくる。
唯一無二の私は確実に会えるからまさかキープされているんじゃないだろうか。唯一無二なめんなよ。
彦星はヘアセットに来ていた。『織姫ちゃん待ってるかな‥遅刻した時彼女が怒ってるならまだ俺のこと好きってこと、そう思っていいかな』しっかり者の織姫は時間厳守で言いたいことははっきり言う。だけど(すき)だけは滅多に聞けない。
織姫は髪をくしゃくしゃにし始めてイライラが他の星々からもよく見えた。
あの子は綺麗なのに気が短いのが玉に瑕ね‥
いやいや待たせる男が悪いだろ
だって年に一回なんだから!1秒でも早く会いにくるのが普通よー
そう思うだろ?俺なら高速使って何としてもでも先に着いて待ってる
ほんっと彦星わけわかんない!
きらきら瞬きながら人の恋を面白がる3等星達。
彦星は織姫に手を振って、織姫は怒りのあまり酷い顔をしていた。
‥来年が心配だね、誰か教えてやらないと
シャイな彦星の気持ちをさ
自分から好きって言わないから悪いのよ
だってあの子があんなだから自信を無くしちゃったのよ
‥やれやれ
綺麗に髪を整えた彦星と怒りに震える織姫。
まま、愛って怖いの?ううん、そんなはずないんだけど
信じる気持ちがあれば‥
ありゃ姫じゃねえなぁ
恋は星を変えますからねぇ
織姫の足元からめらめらと蛇の尾の様なものが見えた。