情けない自分
今日は、涙が出てきてしまう。
何故だろう。
あぁ、こういう日なのか。
車を走らせて、お気に入りの場所に来た。
私は水辺が好きだ。
上から川を見下ろして、周囲にはちょっとだけ色付き始めた紅葉の木々が私を囲んでくれる。
水が沢山の岩を掻い潜りながら、一定のリズムで流れていく。
流れながらも、端の方で少し休憩したりもする。
鳥が何かをくわえて水辺を通り過ぎ、柔らかい風が、木々や草をほのかに揺らす。
大きく息を吸い込んで、少し冷たい空気で心を冷やす。
自然のなかでは、やっぱり人間はちっぽけだ。
―何で泣いているの?
木々は動かないが、優しく問いかけてくる。
生まれた場所で、ただひたすらに枝を幹を大きく伸ばして、陽の光を探していく。
しかも、凄く長い時間をかけて。
水も、何処へ流れ着くかも分からないけれど、全てを委ねてただ流れていく。
私はどこにでも行けるのに、なぜか息苦しいと感じてしまう。
泣いている自分が情けなくなってくる。
情けなくてもいいのだ。
水の様に流れに身を任せて、太陽に照らされて、木々の様に踏ん張っていれば、この涙はいつか止まるのだろうと。
今日は涙が出る日だってだけだ。
理由なんて、考えなくて良い。