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おじいちゃんと孫(平和な日常)

息子が高校生になり、アルバイトを始めてると、父との仲はさらに良くなった。

父は決して怒らなかった。からかいながら、簡単な組み立ての仕事を教えて、ちょっかいを掛けて、休憩中にはおしゃべりが止まらない。

周囲の人達も、「お孫さんが手伝ってくれるなんて嬉しいね。」と、和やかな雰囲気で歓迎してくれていた。
父もまんざらでもない表情で、煙草に火を付けるのだった。

70歳もうすぐで来るというのに、大きな機械の組み立てを丸1日力仕事。

疲れたといいながらも、納期に間に合わせる為に深夜まで作業。

頑張るけれど、愚痴はこぼさない。

ちゃんと栄養を取って欲しくて、息子のお弁当のついでに父にもお弁当を作った。
夕飯も作り過ぎたからと言って、家に呼んで一緒に食べた。

昼間、あんなに疲れていたのに息子に会うと笑顔になった。

そして、やるか!と言って、トランプで大貧民大富豪をやるのだ。

そして、「今週はどこに行くか?そういえば、昔良く行ってたお店が移転したから、ちょっと遠いけど行くか?」

「うん!行く。じゃぁ、ついでにさ…。」
と、息子も口が止まらない。

帰って来ると、いつもどこかで買ってきた野菜やら果物、時には魚が箱いっぱい。

「こんなにどうするの!?」

私はいつもそう言って、ちょっと怒る。

「やっぱり怒られたな!」
2人はいつも楽しそうに笑っていた。

息子が18歳になって、車の免許を取った。大学に進むことは決定していて、家からは電車で通うが、時間がある時に取っておこうという事になった。

「車怖い!もう嫌だよ。」
息子は石橋を叩いて叩いて叩き割るタイプの子だから、弱音を吐く。
父にも弱音を吐いていた。

「あいつはいつもそうだな。でも、大丈夫だろう。」(俺の孫だから。)

父は車(乗り物系)は好きだから、そういう所は似なかったのかと思ったが、案外あっさり免許を取った。

そして、初ドライブ。
もちろん。じいちゃんの車で2人で、初心者マークを付けて。
「ほら!行くぞ!」
恐れを知らぬ父と、ビビる息子の車旅がここから始まるのだ。

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