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『療育者の困難感に関する研究 ―「子どもの療育をする上で困難に感じていること」への自由記述回答からの分析 ― 』横畑泰希・板川知央(2019)

『未来の保育と教育-東京未来大学保育・教職センター紀要』第6号

 児童発達支援に従事する療育者が抱える困難について、自由記述方式の調査で明らかにしている。人材不足が困難さを生んでいるという単調な展開ではなく、じっくりと現場の声に耳を傾け、問題点と課題を分かりやすく提示している。

 

<引用>

○(回答内容より抜粋)
・日頃から、発達障がいとはなにかについて考えていますが、自分の中で答 
 えが出ません。
・同じ事業所の人間でも、療育を専門に長期にわたり行っているものがいな
 いため、相談しても不安が常に付きまとう。
・時間的にも余裕がない為、勉強する時間も限られている。療育がマンネリ
 化していても、余裕のなさから、そこから抜け出しにくい。
・障害特性による心ない言葉の言い合いからの利用者同士のトラブル(に対
 する対応が難しい*管理者追記)

 ○調査結果より、困難感は3層構造として考えられる。(そういった中で)一つのタームが療育者の困難感の本態を表すものとして浮かび上がってくる。それは「混乱」である。
第1層:表層 現実的問題としての困難感(子どもとの関わりに対して困っ 
    ていること)
第2層:中間層 中核的問題としての困難感(療育者を取り巻く環境の問
    題)
第3層:深層 基底的問題としての困難感(自分問題)

 

<つぶやき> 
本論文で提示されている3層構造の困難感は、それだけの支援(サポート)を療育者側も必要としている、ということに繋がるのだと思う。

自身の感情や価値観といったデリケートな部分をある意味さらけ出し、技術として提供している部分もある。それゆえに、受け入れられなかったり、つまづいた時には、そこへのサポート(スーパービジョンを含む)が繰り返し行われる必要があるのだと思う。しかしながら現状としては、スーパービジョンの機会は事業所や個人の努力(金銭面も含めて)にゆだねられており、そこまでの教育の確保はなされていない。そこを無視して人材の育成や確保はできないのに、どうして手が行き届かないのだと、歯がゆさを感じる。福祉の現場はどの領域に対しても、あと2歩、3歩以上の公的な後ろ盾が欲しいと感じた。

 

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