サッカーワールドカップ、準決勝 アルゼンチン対クロアチア戦レビュー
サッカーワールドカップ、準決勝 アルゼンチン対クロアチアの試合はアルゼンチンが3-0で快勝し、2大会ぶりの決勝進出。
私は2010年の南アフリカ大会から、優勝予想は常にアルゼンチンだった。理由はメッシがいるから。しかし、その予想というか期待は裏切られ続け、今回、2010年大会以降では初めて優勝予想をアルゼンチンではない国にした(イングランド)。しかし、それでもアルゼンチンへの思いは捨てきれず、アルゼンチンは準優勝と予想した。
そんなメッシのアルゼンチンですが、この試合、これまで見てきた中で一番強いアルゼンチンではなかったか。そんな印象のクロアチア戦だった。これまでアルゼンチン代表では本来の輝きを放てなかったメッシがようやく本来の輝きを、いやこれまでで最高の輝きを放っていたのがクロアチア戦。
メッシと言えば、バルセロナのイメージが強い。しかし、個人的にはアルゼンチンのメッシの方が好きだ。アルゼンチン代表での方が王様感が半端ない。バルセロナでも輝いているが、それは輝いている複数の星の一つでしかなかった。今のメッシは、アルゼンチンにおいて太陽である。そう強く感じたクロアチア戦だった。自分自身で輝くし、自分の光で周囲をも輝かせた。
先制点となるPK。最終的にはアルバレスの突破を止めるべく飛び出したリバコビッチのペナルティですが、これはメッシが誘発したペナルティ。ツートップのメッシが中盤に下がることで相手センターバックがつられて前に出、空いたスペースをアルバレスがついたことで得られたペナルティ。
そしてそのPKがすごかった。メッシのペナルティキックは、GKの動きを見てからけることが多い。しかし、そうすると相手GKとの駆け引きとなるので、相手が読んでいてもとれない右端上に豪快にけりこんだ。あのゴールの上側に決めるのはふかすリスクがあって難しいのに見事に決めた(ハリー・ケインがフランス戦でふかしたパターン)。ペナルティを得たプレー、そして狙って決めたPK、意図したプレーでの先制でアルゼンチンの意気は上がった。
そしてその4分後にアルバレスが魅せた。ディフェンスが奪取したボールを自陣からドリブルで駆け上がり、そのままゴールした。相手が止めても弾んだボールがアルバレスの前に転がる幸運もあったが、後ろでメッシがサポートしている気軽さか、それとも恐れを知らない若さか、アルバレスの勢いがこのスーパーなゴールを生んだ。そしてゴールを決めた後のアルバレスとメッシの喜ぶ姿が微笑ましかった。営業部長が新人の功績をたたえるような、そんな雰囲気だった。
後半24分のアルバレスのアシストにも背筋が震えた。今大会大活躍のクロアチアDFグアルディオルを子ども扱い、最後は功績を譲るかのように若手のアルバレスにやさしいアシスト。アルバレスが決めて、試合の行く末は決した。
現代サッカーではとにかく精力的に動く選手が重宝される、というか運動量がなければ試合に使ってもらえない。これだけディフェンスをせずにふらふらしているメッシは非常に扱いの難しい存在である。しかし、これだけの決定力を見せられたら、使わざるを得ないでしょう。
相手が強いクロアチアだったから、ここまで輝けたのかもしれない。これまでのワールドカップ、メッシを活かせず、メッシが浮いていたチームが、ここまでメッシを活かし、若手も輝くチームとなるとは、本当に驚きです。
確かに2014年ブラジル大会でも決勝には進出しているが、あの時はGKロメロが覚醒し、メッシ以外の選手がディフェンス頑張っての準優勝だった(ロメロは決勝トーナメントは決勝戦の1失点のみで他は零封)。
最高の形で決勝戦を迎える。決勝戦、どんな結末が待っているのか、楽しみでならないです。