小さい花が好き
まだ20代の頃、当時「花嫁修業」なるものの一貫で「茶道と華道」がありました。
ご多分にもれず私も少しずつ習うことになり、当時は会社のサークルのような集まりで、大きな会議室をそのままお稽古場に変えて講師の方をお呼びしていました。
どちらの先生も優しい印象で、基本から丁寧に指導して下さいました。
どちらかといえば茶道よりも「お花を生ける」華道の方が、決め事も少なくて若い私には自由な印象がありました。
茶道も会社を離れてからも自分でサークルを探して少し続けていましたが、華道は暮らしの中で私と一緒に根付いていきました。
40年も過ぎた日々の中で「お花を生ける」ことは、とても自然に生活の一部になっています。
一週間の仕事を終えて、週末にお花屋さんを訪れるとき、疲れが癒やされ、とても華やいだ気分になります。
そんな時も、いかにも高価そうなショウウィンドウのお花は見るだけですが、ただひとつ「その時の気持ちに合ったお花」それだけで選んでいます。
よくお花は好きだけれど、どう生けたらよいか解らなくて手が出難いという悩みがあるそうですが、私はお花と会話してみたらどうかなと思います。
たとえばお花屋さんで、今日の出会いを探しているときも、ほら!気がつくと会話していませんか?
なんとなくクールにきめている凛としているお花、私を見て!とアピールが上手なお花、私もここにいますよ・・と遠慮がちなお花などなど、素敵なお花たちと。
そんなお花たちと、じっくり対話できたとき私には値段以上の出会いがあったと思えるのです。
だからいざ花器に生けていくときも、お花をよく見ていると「一番美しいお花の向き」がピンときて「私を可愛くいかしてね」というその子の声が聞こえてくるような気がするのです。
そんな私も子供たちが幼い頃は、正直「花より団子」の暮らしぶりでしたが、少し落ち着いて贅沢はできないけれど「お花のある暮らし」が日常になってきたことは、とても嬉しいです。
幼い頃、北海道で咲くスズランを見てすごく感動したのを覚えています。
たぶん初めてお花の名前を覚えた頃だと思います。
そこからずっと、ミモザやかすみ草などの「小さな花」が特に好きになりました。
可憐で謙虚でありながら強くて優しい・・・お花を通した私の生きてゆく目標像かもしれません。
「今週も仲良くしてね!」という私のリクエストにも、スッと間口を開けてくれる、そんな自由さが心地よく感じます。
この世に「花」というものが存在してくれたことに感謝です。
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