第96回アカデミー賞ノミネート紹介第4弾!
第96回アカデミー賞ノミネート紹介第4弾
第96回アカデミー賞のノミネートを紹介します。第4弾は主演男優賞、脚色賞、脚本賞、編集賞です。
主演男優賞
・ブラッドリー・クーパー
「マエストロ:その音楽と愛と」
レナード・バーンスタインという純粋にして同時に、複雑な人物を演じることはクーパーにとっても難しいことだったろう。メイキャップの力を借りながら、50年に渡る悲喜に満ちた時間の一瞬一瞬を切り取っていく。妻フェリシアを演じるマリガンとのケミストリーも抜群だ。圧巻の指揮も披露した。
・コールマン・ドミンゴ
「ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男」
ワシントン大行進は運動を立ち上げたラスティンなしでは語れない。ドミンゴはラスティンが持つカリスマと知性、とめどないエネルギーを体現し、周囲の者を奮い立たせていく。近年のドミンゴの怒涛の活躍もプラスにしかならない。
・ポール・ジアマッティ
「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」
嫌われ者の気難しい教師を演じることは、幅の広いジアマッティならお手の物かもしれない。だがそんな男の心情を立体的にみせることは、ジアマッティにしか出来ないことだ。主演でありながら出過ぎず霞まずの存在は唯一無二だろう。18年ぶりのオスカー帰還。
・キリアン・マーフィー
「オッペンハイマー」
ノーラン作品で数々の名助演をみせてきたマーフィーがノーラン作品の主演を飾る。原爆の父オッペンハイマーとして身も心も追い詰めたハードな演技が恐ろしい。3時間もの長尺の作品の緊張を高め続ける離れ業を決めた。何もかも吸い込んでしまうような絶望の瞳から目が離せない。
・ジェフリー・ライト
「アメリカン・フィクション」
その厳つい顔立ちはシリアスな作品はおろかコメディでもハマる。ライトは名声という奇妙な状況に巻き込まれる怒れる作家に扮し、歪な社会の風潮を風刺していく作品の魂となる。「バカな振る舞いをすればするほどリッチになっていく」とぼやく姿に笑うしかない。
脚色賞
・アメリカン・フィクション
- コード・ジェファーソン
・バービー
- グレタ・ガーウィグ、ノア・バームバック
・オッペンハイマー
- クリストファー・ノーラン
・哀れなるものたち
- トニー・マクナマラ
・関心領域
- ジョナサン・グレイザー
【ひとこと】「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」無念。
脚本賞
・落下の解剖学
- ジュスティーヌ・トリエ、アルチュール・アラリ
・ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ
- デヴィッド・ヘミングソン
・マエストロ:その音楽と愛と
- ブラッドリー・クーパー、ジョシュ・シンガー
・メイ・ディセンバー ゆれる真実
- サミー・バーチ、アレックス・メチャニク
・パスト ライブス/再会
- セリーヌ・ソン
【ひとこと】「MAY DECEMBER」のノミネートはこの部門のみ。
編集賞
・落下の解剖学
- ローレント・セネシャル
・ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ
- ケヴィン・テント
・キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン
- セルマ・スクーンメイカー
・オッペンハイマー
- ジェニファー・レイム
・哀れなるものたち
- ヨルゴス・モヴロプサリディス
【ひとこと】作品賞を占ううえで重要な編集賞。フランス映画の「落下の解剖学」が候補入りしたことは、作品にとって大きな意味を持つ。