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善悪を超えてキャラクターの本質をスクリーンに滲ませる遅れてきたスター〜コールマン・ドミンゴ〜
ACTORS PROFILE Vol. 5
コールマン・ドミンゴ
「ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男」
「カラーパープル」
長後の都知事が選ぶ代表作
「マ・レイニーのブラック・ボトム」
1969年アメリカ生まれ。善悪を超えてキャラクターの本質をスクリーンに滲ませる、遅れてきたスター。
ワシントンの「あの日」とは人種差別撤廃を求めて20万人以上が参加したワシントン大行進が行われた日のことだ。キング牧師の「私には夢がある」の演説でも有名な、この運動には仕掛け人がいた。ベイヤード・ラスティンが、そのひとだ。エネルギッシュで人々を惹きつける彼だからこそ、天使的なトラブルメイカーたちの輪が広がり、歴史的な出来事を作り出した。一方で、「カラーパープル」での主人公セリーと結婚した暴力男ミスターが、彼女の自由の前に立ちはだかる様は腹立たしいの極みだ。
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▲この2作品でまるで対照的な人物を演じたドミンゴのここ数年の活躍は凄まじい。10年ほど前に「リンカーン」や「42」、「大統領の執事の涙」、「グローリー/明日への行進」などの作品で、小さな役ながら印象的な演技を披露すると、「ビール・ストリートの恋人たち」では主人公の温かい父親ジョセフの役で、難しい状況の中で絶やすことのないビッグスマイルが心に残った。この2、3年でも「マ・レイニーのブラック・ボトム」と「Zola ゾラ」、「キャンディマン」とジャンルを多様にまたぎながら、インパクトのある演技を連発している。特に「Zola」ではフロリダの温かい昼と危険な夜を体現する恐ろしいXという、名前が伏せられたキャラクターで観る者を震え上がらせた。
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▲今年公開の2作品での対照的な役柄を成立させることが出来たのは、舞台を大事にしてきた実力派のドミンゴだからこそだろう。特に「ラスティン」のラスティンは公民権運動に尽力しながらも、ゲイであるということで守っているはずの仲間たちから良く見られないという難しい立場にいる。ドミンゴ自身がゲイということもあり、この苦しみを表すことは彼にとっても大事だったに違いない。
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▲舞台では半自伝的な物語を執筆したり、作者としても才能を発揮しているドミンゴ。すでにテレビドラマでは監督も務めていたりと、これからますます活躍の場を広げていくことだろう。
コールマン・ドミンゴの関連動画
・Variety誌恒例のコールマン・ドミンゴとジェイコブ・エロルディの対談
・コールマン・ドミンゴのインタビュー映像
・「カラーパープル」にも出演してます
・「Zola ゾラ」より。滅茶苦茶怖い。
・「マ・レイニーのブラック・ボトム」ではチャドウィック・ボウズマンと火花を散らした。