
第97回アカデミー賞受賞予想第4弾!(主演男優賞とか)
第97回アカデミー賞受賞予想第4弾!
現地時間3月2日に迫った第97回アカデミー賞の受賞予想の第4弾。今回は主演男優賞と脚色賞、脚本賞、編集賞です。
主演男優賞
・エイドリアン・ブロディ『ブルータリスト』

【ひとこと】エイドリアン・ブロディか、ティモシー・シャラメか?それが問題だ。
ブロディは『ブルータリスト』で、ある建築家の数十年を陰影たっぷりに演じて高評価を獲得し、批評家賞からゴールデン・グローブ賞、ブロードキャスト映画批評家協会賞、英国アカデミー賞を手堅く受賞している。
でも大事なアメリカ映画俳優組合賞はティモシー・シャラメに渡った。シャラメが『名もなき者』で演じたのはアメリカのアイコン的シンガーソングライターのボブ・ディランだ。ある程度エモボーイのイメージがついてきたシャラメだが、今作では全身全霊で役に臨み憑依的な演技を見せることに成功した。ディランの独特な歌唱からエネルギーのある演奏、立ち振る舞いまでを再現し、その才能の豊かさを見せつけた。
SAG(アメリカ映画俳優組合賞)とBAFTA(英国アカデミー賞)で受賞者が割れた時にはBAFTAの受賞者をとれ。ただし、SAG受賞者の対象作の方が人気があったらSAGの受賞者をとれ。
上記の主演女優賞の時にも用いた式を適用するなら僅かの差で、英国アカデミー賞を手にし、作品自体も候補数の多さや監督賞受賞の可能性がある点から見てブロディに分がありそうだ。でもAI使用問題など不安要素はある。
シャラメはハリウッドのスター街道を確実に歩いていて既にキャリアも知名度も抜群だ。いつもだと若手には厳しい主演男優賞ではあるが、『君の名前で僕を呼んで』以来のハードワークを称えられるのではないかとも思う。個人的な願望では同じ90年代うまれのティモシー兄さん、いやティモ兄に受賞してもらいたいところ。『戦場のピアニスト』でオスカーを受賞して以降、個人として目立つ作品があまりなかったブロディがジャック・ニコルソンやショーン・ペン、トム・ハンクス等と肩を並べる2度目のオスカー主演賞というのも不思議な感じがする。
実は批評家賞で大いに称えられたコールマン・ドミンゴ、この部門一のベテランで尊敬を集める名前を言ってはいけないあの人レイフ・ファインズ、ドナルド・トランプを良くも悪くも正直に演じ切ったセバスチャン・スタンの3名のオスカー受賞はないと見る。
ブロディが2度目の受賞を果たすか、シャラメがブロディの記録を破り最年少主演男優賞受賞者となるか、目の離せないレースがゴールに近づいている。
脚色賞
・教皇選挙

【ひとこと】前哨戦でゴリゴリの強さを見せた『教皇選挙』が大本命。作品が一発逆転の作品賞受賞の可能性を秘めているので、それの後押しとなりたいところ。
脚本賞
・ANORA アノーラ

【ひとこと】このままの予想で行くと当日はショーン・ベイカーの夜になりそう。アメリカ脚本家組合賞も獲得している。対抗を選ぶなら『リアル・ペイン』か『サブスタンス』だ。特に前者は英国アカデミー賞を受賞している。ジェシー・アイゼンバーグのウィットに富んだスピーチが聞きたい。
編集賞
・教皇選挙

【ひとこと】前哨戦で快勝していた作品が消えて本命不在の編集賞。音響賞とも深い繋がりがある部門なので、音響でも候補入りしている『ウィキッド』や『エミリア・ペレス』の可能性もあるが、ここはキレのある編集で作品の緊張感を高め続けた『教皇選挙』が受賞すると見る。作品賞受賞の可能性もあるだけにここは抑えたい。ちなみにカオスなキャラクターたちのやり取りを見事に切り取った『ANORA』が受賞するとベイカーは一夜にして4つのオスカーを手にするかもしれない。
第97回アカデミー賞は日本時間3月3日に開催予定。オスカーウォッチャーの大晦日がやってくる!